なぜモラハラから抜け出せないのか
これってモラハラ?
- モラハラ加害者の特徴
- モラハラ加害者チェックリスト
- 自己愛性パーソナリティ障害の可能性も
- モラハラ加害者の言動行動パターン分析
- モラハラ被害者の特徴
- モラハラ被害者チェックリスト
- 加害者は家庭という狭い空間を利用する
- モラハラから抜け出す準備をしよう
- モラハラに気づいたら
モラハラ加害者の特徴
モラハラには、大きく分けて2種類あります。
①無視、(わざと聞こえるような)ため息、舌打ち、(わざとらしく大きな音を出すような)ドアの開閉、壁・机・椅子等を叩く蹴る、物を投げる、威圧的な態度、怒りの表情、
等の言葉を使わない行為と、
②「おまえは何もしない(何もできない)」「おまえが悪い」「おまえのせいだ」「この家から出て行け」「誰のおかげで生活できていると思っているんだ」「稼いでから言え」(+長時間の説教)
等の言葉を使った行為(暴言)です。
心当たりはありませんか?
夫(あるいは妻)と一緒に生活していて、「なぜか息苦しい」「恐怖感がある」といったことがあればモラハラを受けているかもしれません。
まずは、モラハラを受けているということに気付かないと始まりませんね。
そんなモラハラについてですが、まずはモラハラ加害者の特徴を見ていきたいと思います。
※現在は男性だけでなく女性が加害者になるケースも増えてきています→関連ページ 妻からのモラハラ
モラハラ加害者は、一見動じず自信があるように見えるかもしれませんが、実際は自己肯定感が低く、それを補うために相手を自分の支配下に置こうとします。
自分の弱さを隠すために、強そうに見えるようにします。
上下関係を作って自分が常に上の立場でいるようにします。
自分が上にいないと自分を保てないのです。
つまり、常に攻撃できる対象(被害者)がいないと生きていけないということです。
そういう意味では、とても(被害者に)依存的なのです。
被害者を必要とするという点で、被害者がいない場合には無力ということになります。
そのような自分の弱点にどこかで気が付いている面もあり、「離婚してやる!」と言い張ったりする割には行動に移さないことも多いです。
勢いで離婚届を取りに行くものの、記入しなかったり、提出するところまでいかなかったりします。
離婚届をお互いに記入するところまではいっても、「おまえが好きな時に出しておけ!」などと言い、自分で提出できない脆さがあります。
モラハラ加害者の具体的なやり口は、
・無視やため息をつくことによって「自分はおまえのせいで不快な気持ちになっている」ということをアピールして罪悪感を植え付けてきたり、
・「おまえは何もできない」と言うことで自己肯定感を喪失させ、「自分はモラハラ行為を受けるに値する存在だ、されても仕方ない存在だ」と思わせるように洗脳してきたり、
・専業主婦(主夫)のままでいさせることで家以外の場所を作らせずに情報を遮断して視野を狭くさせてきたり、
等がありますが、さらにまとめると、
①自分(モラハラ加害者)がいないと生きていけないと思わせる
②自分(モラハラ被害者)がモラハラ行為を引き出しているんだと思わせる
③ダメな人間だと思わせることによって自立の芽を摘んでいく
④孤立させて自分(モラハラ加害者)の影響力を高め、洗脳しやすい環境を作る
ことに一生懸命になっている
ということです。
このからくりがわかってしまえば自ずとモラハラ対策も見えてくるかと思います。
敵を知ることが何よりも自分を守る盾になります。
上記のように、モラハラ夫(妻)はパートナーの自立を妨げようとします。
「おまえなんかには無理!」「そんなことやったって意味ない」等と言うことで自信をなくさせて、新しいことや好きなことへの挑戦の意欲を削いできます。
自分の力が及ぶ範囲内にパートナーをおさめようとするのです。
このような発言があれば、モラハラをされているとわかりやすいので対処しやすいのですが、このような発言がない場合もあり、むしろこちらのタイプ(いい人のフリタイプ)に注意する必要があります。
このいい人のフリタイプは、パートナーが自立しようとすることに反対はせず、むしろ応援する姿勢をとります。
ですが、パートナーが何か自立のためにやろうとしていることに関して、やたらと関わろうとしてきます。
そして、目に見えるかたちでパートナーの援助をします。
つまり、「自分のおかげでやれているんだよ」という状況にもっていき、パートナーに「自分の力だけでやれたんだ」という自信を持たせないようにするのです。
一見良いことをされているだけに、そしていい人に見えるだけに、自分がモラハラをされていることに気付きにくいのです。
実はこちらのタイプが本来のモラルハラスメントの意味に近いです。
「なんかこの人といると自信が持てない。エネルギーを吸い取られているような気がする」というような違和感を感じたらモラハラを疑ってみてください。
このように、いい人のフリをして気付きにくいモラハラ(支配)をはじめからする人もいれば、最初は「おまえなんかには無理!」「そんなことやったって意味ない」等と言うけれど、それだけではパートナーの自立を妨げられないとわかると、いい人のフリをして支配する作戦に変更する人もいます。
いずれにしても、モラハラ加害者は、パートナーが自立をし始めたり、カウンセリングを受けたりして変わっていくと、「(悪い意味で)変わったな」と言います。
本当にあなたのことを思っている人であれば「(良い意味で)変わったね」と言ってくれるはずです。
あなたの自立や変化をどう捉えるかが、モラハラをする人なのかそうでないのかを見分けるポイントとも言えそうです。
おわかりかと思いますが、モラハラ加害者はパートナーの自立を恐れる弱い生き物なのです。
弱い生き物なのですが、厄介であることには変わりないので、自分が何かやろうとしていることは内緒で始めた方が良いですよ。
モラハラ加害者への具体的な対策は、
これまでの経緯や関係性の変化や夫婦それぞれの生育歴等をお聞きしないと回答できないもの、
と考えています。
ネットや書籍で書かれている誰にでも当てはまることではないはずのことを行って、関係性を悪化させてしまうケースを何度も見ていますのでご注意ください。
モラハラには、意図してやるモラハラ(真正なモラハラ)と、意図してやっているわけではないモラハラ(天然なモラハラ)があります。
このページでは、基本的に前者のモラハラ(意図してやる真正なモラハラ)のことを記載していると思ってください。
後者のモラハラ(天然なモラハラ)は、相手の立場に立てない、共感力がない、といった、アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症ASD)によるモラハラです。
そちらも併せてご覧ください→アスペルガー症候群とカサンドラ症候群
モラハラ加害者チェックリスト
自分はモラハラ加害者だったのかもしれない
自分はモラハラ被害者だったのかもしれない
といった気付きを得ていただければ幸いです。
(自分はモラハラ加害者だったと気が付かれて直したいという方からの相談も実際にございますし歓迎です)
それでは以下がモラハラ加害者の特徴となります。
☑1.自分が絶対に正しく、思い通りになることが当然だと思っている
☑2.自分の思い通りにならない相手を敵と見なす
☑3.相手を加害者に仕立て上げ、自分は被害者になりたがる
☑4.相手に対しての共感はなく、自分の利益のために人を平気で利用する
☑5.相手を下げることで自分が優位に立とうとし、相手を下げることで自分が上がったと勘違いする
☑6.自分で決めずに相手に決めさせ、責任から逃れて相手に押し付ける
☑7.相手のミスを過大・強調し、自分のミスは認めない
☑8.自分がしてあげたことは(相手が必要としていないことであっても)プラスに強調し、相手がしたことはマイナスに強調する
☑9.相手の話や行動を自分に都合が良いようにすり替える
☑10.自分の意見が通ることが「(建設的な)話し合い」となる
☑11.後出しジャンケンが多く、相手の言動行動を見てから発言する
☑12.自分のしたことは忘れるが、相手のしたことに関しては異常に記憶力が良い
☑13.相手から何か自分にとって不快な言葉や行動があった時に文脈を問わず過剰反応する
☑14.人の立場次第で接し方を変える(権威ある人に弱いが、立場の弱い人には見下す)
☑15.何か上手くいかなかった時に無理矢理理由をつけて他人のせいにする
☑16.(口がうまくないタイプは)モラハラと気付かれないような無視やため息や物にあたったりドタドタ歩く等の行動で不快感を相手に示す
☑17.自己肯定感が低いが、それを認めないあるいは自覚できない
☑18.(男性の場合)父親が母親にモラハラ行為をするのを目撃していた
等以上となりますが、
いくつ以上でモラハラ加害者だ、
というわけではありませんし、
いくつ以下でモラハラ加害者でない、
ということでもありません。
<補足>
6の「責任から逃れる」という点ですが、先に記載したように、モラハラ加害者に決定権を委ねても(離婚や別居等)自分で決められないため、話が進んでいかないことが多いです。ですので良い意味で捉えれば被害者次第で事を進められるということです。離婚か修復(再構築)か迷われているのであればまずは自分を取り戻すことに時間を使われても良いと思います。
参考ページ 離婚するべきか、修復するべきか
17の「自己肯定感が低い」という点ですが、アダルトチルドレンの特徴にもありますが、同じ「自己肯定感が低い」でも、アダルトチルドレンはそれをある程度認めているのに対し、モラハラ加害者の場合は認めません。その点で現実を直視しない逃避と言うことができます。
その他、あくまでも印象ですのでチェックリストには記載しませんでしたが、九州にお住まいの女性からのご相談が多く、九州男児の代々続くはき違えた亭主関白によるモラハラが多い印象です。
以上となります。
変に友人知人に相談して「男性(あるいは女性)なんてそんなものよ」と言われることでモラハラと気付くチャンスを逃さないようにと思います。
そのように言われてますます自信をなくし(二次被害)、閉じこもってしまうということのないようにお願いいたします。
こういったチェックリストを利用してください。
まれに、自分のやっている(やっていた)ことが、モラハラなんだということをただ単に知らないだけだった、という人がいます。
教えてあげれば改善しようとする人がいる、ということです。
父親が母親に対して(またはその逆)していたことを見て、それを疑問に思ったことがなく、どこの家庭にもある普通のことと認識して生きてきた人です。
そのような家庭(機能不全家族)で育ったのであれば仕方ないと言えます。
しかし、自分がやっている(やっていた)ことがモラハラだと知ってからもなおモラハラを続ける人は、人としてどうなんだろうか、と思った方が良いです。
同様に、「今更自分を変えることはできない」とパートナー(被害者)の傷を無視して開き直る人も、人としてどうなんだろうか、と思った方が良いです。
自己愛性パーソナリティ障害の可能性も
モラハラ加害者の多くに、自己愛性パーソナリティ障害の可能性があることがあります。
その場合、より被害者への攻撃は大きなものとなります。
パートナーのことは自分を向上させるアクセサリーのようにしか見ておらず、人間として扱いません。
パートナーに人格があるということは考えません。
DVや浮気(不倫)についても正当性があると思って行います。
このあたりが普通のモラハラ加害者と異なるところです。
普通のモラハラ加害者は一応は「悪いことはしている」という自覚があるものです。
「おれがこんなこと(DVや浮気不倫)をすることになったのはおまえのせいだ」
と平気で言うところも特徴です。
間違ったことをした原因を相手のせいにするのです。
こうすることで被害者になることができるのです。
理不尽でまったく筋の通らないことも本気で発言していることが多く、
その本気感から、
被害者は、
「自分がおかしい(悪い)のではないか」
と思ってしまいます。
当たり前のように、
しかも正当なことをしているだけだよ、
というように言動行動をするので相手のペースに飲まれていきます。
どんな物事も「自分だけが悪いとか相手だけが悪い」など一方的な物事はそうそうないと思いますが、
加害者は被害者の「自分も悪いところが多少あるなぁ」という気持ちにつけ込みます。
モラハラ加害者の言動行動パターン分析
モラハラを受けると自己肯定感が下げられ、視野が狭くなってしまいます。
精神的にも追いつめられて冷静な判断ができなくなってしまいます。
ただでさえ、機能不全家族で育った人は人の顔色を窺うことが癖になっていますから、「ノー」と拒否することができません。
「ノー」と拒否しても良いという考えさえ浮かばない人もいます。
そのような特徴を利用されないように、知らぬ間にマインドコントロールされているなと感じたら、以下の例を思い出してみてください。
被害者体質(共依存体質)の方は、知識で対抗するのが一つの有効な方法です。
加害者の言動や行動が何を目的としているのか、何を意味しているのかがわかれば(からくりがわかれば)、少しでも余裕を持てると思います。
その余裕がモラハラ加害者にとって脅威になるのです。
特徴を知っておくことで、自分がモラハラを受けていることに早く気が付くことができます。
また、モラハラをされているのに気付かない人、気付くのが遅れる人、というのは、親にも同じようなことをされてきた可能性が高いです。
さらに、親にされてきたことに疑問を持たずに生きてきた方は、「モラハラ夫(妻)は親と同じことをしているのだからおかしなことをされているわけでなはい」と思ってしまうので、気付かないし気付いたとしても遅れます。
そのため、毒親の支配言葉等も知っておくことで、モラハラ被害を最小限にすることができます。
ぜひ参考にしてみてください。
ご相談者様の発言を改めて見ていくと、
みなさんが口にされるのは、
「ああ言えばこう言うで話にならない」
ということです。
「何を言っても伝わらないよ」というメッセージで、「何を言っても意味がない」と諦めさせることが狙いです。
さらに分析してみると、大体の場合において、後出しジャンケンであることが多いです。
「ああ言えばこう言う+後出しジャンケン」
後出しジャンケンとはもちろん比喩です。
被害者が何らかの言動や行動をしてから、それに合わせた言動や行動をするということです。
先に相手(被害者)の言動や行動を見てからですから、当然ながら自分の都合の良いように解釈して、自分の都合の良いようにストーリーを展開することができます。
逆に被害者が何も言わなかったり行動しなかったりしたらしたで、
「無視しているのか?ナメているのか?」
という発言が続きます。
正解がないのです。
どちらに転んでも不正解ということで、ダブルバインドとも言います。
後出しジャンケンが典型的ですが、それ以外にも特徴的な攻め方があります。
それは、質問攻めです。
「そんなこともわからないの?」
「まだ~してないの?」
といったように。
あなたは謝るか、もしくは「はい」「いいえ」でしか答える術がないのです。
正論しか言わないという特徴もあります。
いずれにしても、あなたに意見を言う術を消すための方法です。
例えば、
「そうじは終わったのか?」
「(子どもに)ごはん食べさせたのか?」
というような言い方をされると、拒否できにくくなるのはおわかりでしょうか?
「~したのか?」「~させたのか?」という語尾に注目してください。
過去形+疑問形なのです。
あなたが行うことが前提の言い方なのです。
つまり、「過去形+疑問形=命令」ということになります。
冷静に考えるとおかしな話だということに気が付くのですが、そこに気が付かせないように、直接的な言い方を避けるのです。
また、あなたが行うことが前提の言い方として、
「今日はごはん作らなくても良いよ」「今日はそうじしなくて良いよ」
という言い回しもあります。
「~しなくても良いよ」という言い方なので一見優しい言葉に聞こえますが、このような言葉に違和感を感じない人は要注意です。
ごはんを作ることもそうじも、あなたがするように仕向けられているのです(もちろん夫婦間での決め事である場合を除きます)。
他にも、似たような言い回しとして、「AかBか」という選択肢を提示する質問の仕方もあります。
例えば、
「ごはん作る?それとも洗濯する?」
と質問されると、どちらかを選ばなくてはいけない心理になることに気が付くでしょうか?
「ごはんを作ることも洗濯することもしなくて良い」という第三の選択肢Cを浮かべさせない質問の仕方なのです。
こういう質問の仕方をすることで、強制的にどちらかを選ばせることができ、あわよくば両方やってもらえる可能性も作っているのです。
このような言い回しにのせられないように、惑わされないように、気をつけてみてください。
完全にマインドコントロールされていると自分では気が付けません。
そのため、このような何気ない夫婦の会話等もカウンセリングの中で話していただけるとありがたいです。
以上いろいろと書きましたが、当然ながら、上記のように支配のために言っているのではなく、ただ単に「優しさで」あるいは「単なる疑問」として言ってきているだけ、ということもあります。
それは「誰が言っているのか」で判断してください。
日常的に支配してくるような人が言っているのか、それともそんなことをするような人ではない人が言っているのか、で判断してください。
上記のような言い回しをしてきたから、イコール、支配的な人だ、というように結論づけることのないように、ということです。
良い人を「悪い人だ」と結論づけないようにしてくださいね、ということです。
<モラハラのサイクル>
モラハラ加害者にはサイクルがあります。
大きく分けると、
「蓄積期」: 怒りやストレスを溜めていく時期
↓
「爆発期」: 溜まったストレスを直接ぶつけてくる時期
↓
「ハネムーン期」: ストレスがなくなって一時的に穏やかになる時期
となり、この3つの時期が繰り返されます。
何よりも被害者を惑わすのは、たまに優しくなったり、謝ってくることではないでしょうか?
アメリカの心理学者スキナーの実験によって明らかになっている間欠強化の影響でモラハラから抜け出せなくなる理由が見えてきます。
実験の概要を簡単に説明します。
----------
"ネズミを使った実験です。
レバーを押すとエサが出てくる仕組みのあるスキナーボックスという箱にネズミを入れます。
ネズミはレバーを押すとエサが出てくるという経験を何度もすることで「レバーを押すとエサが出てくる」と学習します。
その後レバーを押してもエサが出てこないように設定します。
するとネズミは「レバーを押してもエサが出てこない」と学習し、レバーを押さなくなります。"
ここまでは特に問題がありません。
この後からがモラハラと関連するところとなります。
"一方で「レバーを押すとエサが出てくる」と学習した後に、
レバーを押すとエサが出てくる時もあればエサが出てこない時もあるランダムの状態(間欠強化、部分強化という)に設定すると、
その後に、レバーを押してもエサが出てこない状態に設定し直してもしばらくの間ネズミはレバーを押し続けます。
「いつかエサが出てくるのではないか」
「今度こそエサが出てくるのではないか」
という期待がネズミの中に残るからです。"
----------
これはパチンコやスロット等のギャンブルにも言えることで、なかなかやめられない理由がこの間欠強化にあります。
この実験のネズミをモラハラの被害者に置き換えると自分の状態を客観的に見ることができるのではないでしょうか?
たまに優しくなったり謝ってきたりする期間(ハネムーン期)があるので、普段どんなに酷いことをされていても、
「いつか優しく穏やかな人になるはず!」
「いつか心からの謝罪があるはず!」
と思ってしまい、この関係性から抜け出せないのです。
ここで忘れて欲しくないのは、
その優しさや謝罪が本物なのかどうか、
一時的でその場限りで表面的なのではないか、
健全な人から見たらごく当たり前のこと(優しさといえるレベルではない)ではないか、
ということです。
さらに忘れて欲しくないのは、日常生活の大部分がモラハラ状態であるということです。
いつも穏やかで安定した愛情を示してくれるパートナーが、たまに激しく燃えるような愛情を示してくれる、 とはわけが違います。
モラハラが「日常」になっていないか、どうか客観的な目で見直してみてください。
状況にもよりますが、口先だけの一時的な優しさや謝罪であり、その後もモラハラが続くようであれば、その優しさや謝罪には意味がありません。
むしろこれだけ優しくしているんだから、これだけ謝っているんだから、と罪悪感の植えつけを意図していることもあります。
モラハラ被害者の特徴
言うまでもないことですが、 機能不全家族で育った「共依存」や「アダルトチルドレン」の特徴を備えた人がターゲットになりやすいです。
「一人ではいられない」という依存心が伝わってしまい、 「この人には何をしても自分からは離れないだろう」という気持ちにさせてしまいます。
人間の心理の法則として、自分が依存的であると相手が支配的になる、というものがあります。
元々それほど相手にモラハラ加害者の素質がなくても、自分が依存的になることで相手のモラハラ加害者の素質が開花してしまうことがあります。
一人でいられない人は、一人でいられるように(精神的にも経済的にも)自立する必要があります。
なぜ機能不全家族で育った人がモラハラ被害者になりやすいのかについてはご理解いただけるかと思います。
しかし、機能不全家族で育った人がなぜモラハラ加害者になり得る人と結婚してしまうのかについては疑問ではないでしょうか?
なぜ自ら育った環境と同じような環境に身を置こうとするのか。
これは、無意識によるものなのでなかなか納得がいくものではないのは承知していますが、支配する人と支配される人が存在する環境(自分の育った環境)が「普通」だと感じているからです。
「この程度のことはどこの夫婦にもあるんだから、私が我慢しなければ…」という気持ちになっていたら危険です。
健全な家庭で育った人は、DVやモラハラに発展する前に早々に逃走するので、問題が起きる前に関係を終了できるか、もしくは修正に向けて行動できます。結果として、モラハラ被害者になってしまう人の大部分が機能不全家族で育った人になるのです。
支配されていた方が「必要とされている」と感じることができるし「育ってきた環境と似ていて安心」と無意識レベルで感じているのです。
誰も好き好んでモラハラを受けているわけではありません。
無意識のレベルまで機能不全家族のマインドコントロールが染み込んでいるということに危機感をもっていただきたいのです。
まれに、DVやモラハラがないと逆に不安になり、DVやモラハラこそが愛情だと勘違いされている方がいらっしゃいますが、重症ですので早急にご相談ください。
そこまでとは言わないまでも、機能不全家族で育った方は、DVやモラハラに対して必要以上に我慢できてしまう面はあると思います。そのため、普通レベル(何を普通とするかは個人差がありますが)のことに対しても過剰に喜んでしまうことがあります。
例えば、「(DV・モラハラが日常の夫(妻)に)風邪をひいた時に看病してくれました。こういう優しい面もあるんです!」とお客様が話してくれることがあります。
普段DV・モラハラをしない方のエピソードであれば素直に聞けるのですが、DV・モラハラが日常の方のエピソードとなると心配になります。
風邪をひいた時の看病ですが、夫婦ですから、まあ普通のことではないでしょうか?
決して「そんなことは普通レベルのことだから感謝することないよ」と言っているわけではありませんが、日常的にDV・モラハラがある中でそんなに感激して良いものかと心配になります。
怖いのは、日常的にDV・モラハラがあるからこそ、ギャップによって普通レベルのことが感激レベルのことに見えてしまっているのではないか、ということです。
DV・モラハラ加害者のギャップは、普段のマイナスと誰もが当たり前にするレベル(つまり0)とのギャップです。マイナスと0のギャップです。もしくは酷い場合にはマイナスとマイナスのギャップです。(例えば-10と-3のギャップ)
具体的な例を2つ挙げます。
①配偶者からの暴力(-10)※が日常的にありましたが、その後、暴力はやめ、暴言(-5)だけになりました。
②配偶者が不倫(-10)をしていましたが、その後、不倫はやめ、風俗(-5)に行くだけになりました。
そんな状況があったとします。
こんな時、-10から-5になっただけなのですが、機能不全家族で育った方は感激してしまうのです。
※何がどのくらいの点数と思うかは人によって違うと思います。暴言より暴力の方がマシ、風俗より不倫の方がマシ、という方もいると思います。
感激して良いギャップというのは、誰もが当たり前にするレベル(つまり0)と時々見せるプラスとのギャップです。0とプラスのギャップです。
DV・モラハラ加害者は普段日常的にプラスの行動ができません。ですから普段マイナスにしておいて、当たり前の0の行動をすることで優しい人と見えるようにしているのです(意図的かそうでないかは別として)。つまり、ギャップを作るために日常的にマイナスの行動を必要としている、とも言えます。
このトリックに騙されてしまうのは、育った家庭環境によってマイナスに対して小さい頃から慣れ過ぎていることが原因の一つかと思います。
人を人として見ずにモノのように扱われる残虐さに慣れ過ぎているのです。
ギャップの話をしましたが、健全な方というのは、0とプラスのギャップもありません。常に安定した行動を示してくれるものです。健全な人は刺激を必要としないので安定した人を好みます。
このあたりを理解しておかないとパートナー選びを間違えます。
やはり自分の成育歴を見直したり、「共依存」的性質を改善することは必須となるでしょう。
「被害者体質=共依存体質」の克服を第一に考えましょう。
1日でも早く気が付いていただきたいと思います。
モラハラ被害者チェックリスト
共依存やアダルトチルドレンの特徴と重なる部分もありますができるだけそれ以外の部分を記載しました。
共依存・アダルトチルドレンのチェックリストはコチラ
☑1.見捨てられ不安が強く一人でいられない
☑2.自己肯定感が低い
☑3.自分の存在価値を相手の期待に応えることで満たそうとする
☑4.自分が我慢することでその場をしのごうとする
☑5.相手の発言に疑問を感じることなく真に受ける
☑6.断ることが極端に苦手 断って良い場面とそうでない場面の区別がつかない
☑7.相手のモラハラ行為のすべての(あるいは大部分の)原因は自分にあると思ってしまう
☑8.モラハラ行為をしないといけないくらい辛いんだねと相手に同情してしまう
☑9.離婚や別居で一人になったり子どもと会えなくなってしまう相手のことをかわいそうだと思ってしまう
☑10.無視やDV等の嫌がらせを受けても自分に関心を持ってくれていることに安心してしまう
☑11.他人に助けを求めることができない
☑12.表情や行動から相手に感情を悟られやすい
☑13.相手を自覚なく傷つけていることがある
☑14.ケンカの後気まずさに耐えられず先に許してしまう
☑16.聞き分けが良すぎる(物分かりが良すぎる) 受け入れるべきところと受け流すべきところの区別がつかない
☑17.経済的な自立(働くこと)に自信がない(お子さんがいる、体調が悪い等除く)
☑18.(女性の場合)母親が父親からのモラハラ行為に耐えていたのを目撃していた
等以上となりますが、
いくつ以上でモラハラ被害者だ、
というわけではなく、
いくつ以上でモラハラ被害者でない、
というわけではありません。
<補足>
12の「表情や行動から相手に感情を悟られやすい」ですが、モラハラ加害者は相手の感情がわかりやすい程コントロールしやすくなるわけですから、わかりにくい自分になることがモラハラ対策の一つとなります。ご面談で対面した際にどこをどう直したら良いか私も気付いた点があればお伝えさせていただきます。
13の「相手を自覚なく傷つけていることがある」ですが、案外多いものです。相手の方からお話を聞くと、はじめに「モラハラを受けています」とご相談に来られた方が実はモラハラを先にしていた、という事実が浮かび上がることがあります。お互いにお互いを「モラハラだ」と言っているわけです。ここはいつも判断が難しいところですが、モラハラかどうかは別として、自分の言動行動が自分の意思とは違う形で伝わってしまうことはないだろうか、相手はどう受け取っているのだろうか、ということを確認していく必要はあると思います。
参考ページ 夫婦円満豆知識 言葉の意味は人それぞれ
以上となります。
加害者は家庭という狭い空間を利用する
モラハラが生まれる原因は、「家庭という空間が狭いから」「閉鎖的だから」というのが大きいかと思います。
今現在、インターネットで簡単に調べたり、SNSで同じような悩みを抱えている人と情報交換できる時代ですよね?
ただし、その情報がそのままあなたに当てはまるとは限りません。
夫婦はそれぞれ違います。
夫婦はそれぞれ違います、と簡単に言っていますが、これは相当重い言葉です。
これだけ情報がある中でもモラハラの相談が一向に減らず、
むしろ増えている最大の原因は、
加害者の言動や行動は果たしてモラハラと言えるのだろうか、
やっぱり自分(被害者)にも問題あるよね?
というような迷いです。
被害者側も頭では夫婦はそれぞれ違うということはわかっています。
狭い空間、閉鎖的な空間で視野も狭くなっている(物理的にではなく)ので冷静に自分たちの状況を見ることもできていません。
そういったことまで加害者は見据えて攻撃します。
加害者は大抵の場合外面が良い傾向にあります。
周りも味方にして被害者を追い込みます。
とにかく加害者は被害者の自己肯定感を下げることが狙いです。
こうして自己肯定感を下げられてしまうと、
外から冷静に見たら明らかに加害者の言動や行動におかしいと気づくはずがわからなくなってしまいます。
マインドコントロールです。
さらに加害者が外面が良いだけに、
周囲の人たちにも、
「あなたにも落ち度があるんじゃない?」
などと言われてしまうことがあります。
ここまで来ると、誰にも相談できなくなります。
加害者のことをよく知る家族や友人は第三者ではありません。
やはり冷静に判断できるカウンセラーに相談することが一番だと思います。
モラハラ加害者は、正しいとか正しくないとか、はっきり決められないようなことまでも、自分のやり方と違えば否定してきます。
例えば、
「なぜコップを右手で持って飲まないのか!」
「その遊び方はおかしい!」
「なぜ歩く時に左足から出さないのか!」
等です。
正解も不正解もないですよね?
こんなレベルのことまで言ってくる人がいるのです。
「なぜコップを右手で持って飲まないのか!」レベルの言動はまだかわいいもので、「なぜコップを足でつかんで飲まないのか!」レベルの言動をしてくることもあります(比喩です)。
こういったことを真に受けると、段々と元の自分を忘れていってしまいます。
後遺症ですね。
また、他にも、モラハラ加害者は、直す必要のないことまで否定してきます。
被害者の長所まで否定してきます。
本人(モラハラ加害者)は本気で直すべきことだと思っているし、他の健全な大多数の人には長所に見えることが短所に見えてしまうのです。
自分の思うものと少しでも違うことは、モラハラ加害者の目を通して見れば、すべて否定することとなってしまうのです。
このように、客観的に二人を見ることのできる第三者がいない空間だからこそ、こんな低レベルなモラハラが成立してしまうのです。
人前でこのようなことを言ったらまず100%笑われるのですが、本気で言ってきます。
家庭という空間で言うから笑われないで済んでいるのです。
ですが、悲しいことに、こんなレベルのことでも何度も言われると洗脳されてしまうのです。
それくらい閉鎖的な空間というのは怖いものなのです。
モラハラから抜け出す準備をしよう
モラハラ加害者は狭い空間、閉鎖的な空間で、いかに被害者の視野を狭くするか、ということを目的に支配してきますから、当然ですが、それに対抗することが必要です。
もしあなたが専業主婦(主夫)であるなら、働きに出ても良いかもしれません。
それは「お金を稼ぎに行く」というよりは、「家を出て社会と接し、家以外の場所を作る」という意味で言っています。
それが目的ですので、アルバイトでもパートでも良いということになります。
趣味のサークル等でも構いません。
もちろんカウンセリングも有効です。
家庭以外の人との接点を持ってください。
家にずっと閉じこもっていると気が付きませんが、外に出てみると、いかに自分が閉鎖的な空間にいたのかに気が付けると思います。
そういうものなのです。
そして、できる限り、モラハラ加害者に「これから○○をしようと思う」等と事前に言わないようにしましょう。
するにしても、なるべく事後報告にしましょう、ということです。
事前に報告をするということは、モラハラ加害者にとっては「否定する材料を自ら言ってくれた」と感じさせるようなものです。
どんなに自己肯定感が高い人でも、「おまえには無理!」「そんなことやったって意味ない」と言われると、やる気が砕かれるものです。
まして、閉鎖的な空間で言われると、モラハラ加害者の発言が必要以上に重要に感じてしまうと思います。
いったんやり始めてしまえば、意外と「今すぐやめろ」とは言われないものですので、やってしまいましょう。
他に居場所を作り、自分の人生・生活の中での、パートナー(モラハラ加害者)の重要度を下げましょう。
モラハラに気づいたら
モラハラは巧妙なやり方ですので、いくら周りから離れた方が良いと言われてもなかなかそこから踏み出せないものです。
逆に加害者に執着してしまうこともあるでしょう。
そういうやり口だからです。
そのままではどんどん自己肯定感を下げられてしまいます。
そして「私は何もできない」と感じてしまうレベルまでいってしまうと危険です。
一度冷静に自分を見つめ直してください。
結婚する前まではあなたは自立した一人の人間だったはずです。
加害者に良いように扱われるロボットではなかったはずです。
「あの人(加害者)がいないと経済的にきつい」
「あの人(加害者)がいないと精神的にきつい」
「あの人(加害者)がいないと子どもの成長にも良くない」
本当にそうでしょうか?
もう一度自分を見つめ直してみませんか?
あなたはそんなに弱い人ではありませんよ。
自信をもってくださいね。
「自分は何もできない」
そう思わされているだけかもしれませんよ。
思い込みかもしれないと一度疑ってみてください。
共依存関係になってしまう前にご相談ください。
モラハラの被害を受けると、加害者から離れても後遺症に悩まされることがあります。
もちろん離れられたことはとても良いことなのですが、被害を受けたことによって、自己肯定感が下がったり、自分のことがわからなくなって混乱するため、それを回復させることが必要となります。
先に書いた通り、直す必要のないことや長所を否定されるため、それらを真に受けてしまうことにより、間違った変革をしようとしてしまいます。
直さなくて良いところを直そうとしたり、反省しなくて良いところを反省してしまうようになります。
また、人間不信になってしまうことも多く、必要以上に他人に対して警戒をし、すべての人の言動行動がモラハラに見える、という症状も発生します。
変に深読みをしてしまい、良い人を悪い人と見なしてしまうということも起こり得ます。
こうして他の人間関係にも影響が出てしまい、とても生きづらくなるのです。
そのため、加害者から離れられたということで終わらせず、しっかり自分を立て直す時間を作りましょう。
大村祐輔(オオムラユウスケ)
共依存で悩むあなたに「とことん付き合う」の精神で活動。あらゆるジャンルの学びから日常生活におけるささいな気付きまで、すべてをカウンセリングに活かす貪欲さを意識。機能不全家庭で育ち、大学時代に共依存を研究、銀行員を経て、不倫をされ離婚したことをきっかけに現在のカウンセラーの道へ。7年間で約1,500名、カウンセリング回数約10,000回の経験から得たものを還元できるよう尽力。現在は再婚し、子育てから多くのことを学ぶ日々、そして感謝。→詳しいプロフィールはこちら