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条件付きの愛情とは

「共依存」に陥りやすい人に共通している点、
それは 「条件付きの愛情」で育てられたという点です。

自分は「共依存」かもしれないと思ったら、
まず自分は「条件付きの愛情」で親に育てられてきたのではないかと疑ってみてください。

「条件付きの愛情」とはどういうことかと言うと、
良い結果が出た時や良い成績をおさめた時だけしか愛情を示してくれない、
といったことです。

良い結果や良い成績というと抽象的な表現になってしまうので、
言い換えると、親の望むような結果の時のみ愛情を示してくれる、
といった方がわかりやすいでしょう。

「〇〇をしたから、愛しますよ」
「もし〇〇をするなら、愛しますよ」

「××をしなかったから、愛しませんよ」
「もし××をしなかったら、愛しませんよ」


という愛し方です。
一種の脅しであり、親という立場を利用した子どもへのコントロールです。
一応表面的には愛情のように見えるだけに、見えにくい虐待とも言えます。
子どもの感情は罪悪感と恐怖で満ち溢れたものとなります。

親が何を望んでいるかを常に考えるようになり、自分の気持ちは後回しとなります。
その場面・状況に適した正解なる気持ちがあると思ってしまい、その正解なる気持ちを探す癖がついてしまいます。
そのため、自分の気持ちは後回しにする上、いざ自分の本当の気持ちを探すにしても出てくるまでにタイムラグが生じてしまうようになります。

条件付きの愛情で育てられると、子どもは愛情を受け取るために親の望み通りになるように必死でがんばります。
そのがんばりも、自分のためではなく親のためとなっていきます。
やがて親のためにやっていたことを自分のためにやっていると勘違いするようになります。


共依存克服・夫婦問題カウンセラーの大村祐輔の似顔絵です。
無条件の愛情を知らないことで起きる病

条件付きの愛情で親に育てられると、

「何か特別なことをしなくても自分は愛される存在なんだ」

という気持ちが持ちづらくなります。

常に何かをしていないと不安になってしまう
ようになります。
その「何か」というのも、「誰かのために」といったものが多くを占め、共依存性が強くなります。
見捨てられ不安にもつながっていきます。

本当の意味での無条件の「優しさ」というものに触れたことがないため、誰か他の人に無条件に優しくされても、その「優しさ」に違和感を持ってしまい、受け取ることができなくなります。
それが本当の「優しさ」であることに気が付けないのです。
本当の「優しさ」を振り払って、今までと同じようになじみのある「条件付きの優しさ」を受け取ってしまうのです。

目の前にいる人は親とは違う別人だということを覚えておいていただきたいですね。
親を見るような心のメガネで目の前にいる人を見ないように、ということです。

また、「条件付きの愛情」しか知らないため、
「私は〇〇したんだからあなたは私を愛するべき」
などのように、
本来は相手の中から自然に出るはずの愛情を不当に要求するようになってしまいます。

愛情の受け取り方と愛情の与え方の両面で歪みが生じます。
それだけ「条件付きの愛情」は子どもの適切な対人関係形成能力に影響を与えるのです。


健全な親であれば、子どもと自分はいくら親子とは言え、それぞれ違う人間だという認識があります。
子どもと自分の間にしっかり境界線を引き、別人格として捉えることができます。

しかし、機能不全家族の場合は境界線がないので、子どものことと自分のことの区別がつかなくなってしまいます。
このような一心同体感のため、親は子どもの結果や成績に一喜一憂してしまいます。

条件付きの愛情で愛する親は、大抵の場合自身も条件付きの愛情で育てられていますが、そのような親は自己肯定感が低く自己不全感を抱えているため、自分ができなかったことを子どもで達成したいと思いがちです。
自己不全感を自分で克服するのではなく、子どもで克服しようとします。


自分ができなかったことを子どももできなかった場合、より傷がえぐられ、「ただ自分ができなかった」という場合よりも大きなダメージを受けます。

それをなんとかして防ごうと自分ではなく子どもにがんばりを強要します。
こうして失敗の許されない完璧主義思考が生まれていきます。

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条件付きの愛情が完璧主義思考を生み出すことに

多くの場合、親もそのように育てられ、完璧主義の傾向があるので、子どもがどんなに良い結果を残してもそれで満足することはありません。

がんばりに限界がないのです。
がんばりそのもの(プロセス)を愛してくれるという経験がないのです。
その結果、子どもはより完璧主義になります。

完璧主義は自分を縛る思考パターンですが、こうした親のように子どもに対しても厳しくなり、次の世代に連鎖していきます。
完璧主義は自分だけの問題ではないということです。
 
そもそも完璧とはなんでしょうか?
人それぞれ完璧に対する基準は違うと思いますが、機能不全の家庭で育った人の完璧には限界がないのです。

つまり、いつまでたっても完璧に届かないために、周囲の人と比べてどんなに良い成績をおさめていたとしても、少しでもミスがあるとまるで地獄に落ちたかのように苦しむのです。

チェックリストにもある、物事を「白か黒か」(0か100か)、
というグレーゾーンがない考え方になってしまう理由はそこにあります。

生きづらさを払拭したり、世の中で起きうることやあらゆる人間関係でうまくやっていくには、グレーでいることに耐えられる力が必要です。

白か黒か(0か100か)はっきりできることはほとんどないからです。


共依存克服・夫婦問題カウンセラーの大村祐輔の似顔絵です。
完璧主義の弊害-完璧なんてそもそもない-

親や他人に完璧を求められて生きてきたあなたはとても辛い生活だったと思います。
なぜなら完璧には上限がないからです。
つまり、達成することが永遠にないものなの
です。
親や他人が求める完璧に仮にあなたが到達した(達成とは意味が違います)としても、他にいくらでもマイナスポイントを見つけることは可能です。
つまり、到達した瞬間に新たな完璧が設定されてしまうのです。

そんな中で生活していると、自分で目標を設定する時にも完璧を求めてしまいますよね。
もちろんそのような考え方でいろいろなことができるようになったのでしょう。

ただしその上で、
苦しみばかりに目がいくようになってしまったら…
完璧であればならないという「~すべき思考」になってしまったら…

本末転倒ですよね。
少し完璧についての考え方が変わったでしょうか?

あるものに目を向けましょう。
できたことに目を向けましょう。

そんな完璧主義ですが、これを克服するには最善主義という考え方が重要になります。
結果ではなくプロセスを重視する考え方です。
ベストをつくせばとりあえずOK、今できることをとりあえずやろう、
ということです。
完璧主義ですと、結果が不本意な場合に「もうダメだ、失敗した」と自分を否定してそこで終わってしまいますが、最善主義ですと、「また次もベストを尽くせばいいだけだ」と思えますし、失敗したという挫折感なく自分を肯定でき、結果的に急がば回れで良い結果になることが多いです。


常に完璧を求められる中で生活していくと、
上記のように、完璧には限界がないので達成することができません。
必然的に成功体験を得ることもできません。

「条件付きの愛情」で育てられていますから、愛情を示されること自体も少ないですし、それによって「自分には価値がない」という判断をしてしまいます。

自己肯定感が低い状態が続いていくわけです。
愛情欠乏のまま大人になっていきます。

無条件の愛情というものを経験したことがないために、様々な人間関係において苦しみます。

少しでもミスをすれば相手に見捨てられてしまう、
という不安を抱えながら生きていくわけで、嫌われないように自分を押し殺して他者に合わせていきます。

自分主体ではなく他者主体の生活です。

仮に夫婦になったとしても、見捨てられ不安があるため、
相手が客観的に見てどう考えても不適切な行動を起こしていたとしても、注意することもできず、むしろ助長するような援助をしてしまいます。

このようにすることでしか自己肯定感を満たすことができないのです。
見捨てられないために、嫌われないために、相手の気持ちがまず先にあって、それに合わせて行動するようになります。

自己肯定感・承認欲求の誤った認識~他者主体から自分主体へ~

「共依存」に陥っている人は自己肯定感に対して誤った認識をしています。

この認識を改めないと、どんな人間関係においても「共依存」関係になってしまい、負のループから抜け出すことができなくなります。

他者主体で生きていると、相手の援助をすることでしか自己肯定感を満たすことができなくなります。
自分の意見は抑えてとにかく相手に尽くすようになります。
それが続くと、抑えるどころか自分の意見がなくなっていきます。
自分が何者なのかわからなくなってしまう、
という特徴があらわれる所以です。


相手に尽くすことで自分の存在価値を確かめることがすべてになってしまいます。
これは不健全な自己肯定感の満たし方です。
自分自身で満たすことができないため、常に援助・世話をさせてくれる人を探し求めることになります。
人に依存するかたちになります。

言い換えるならば、
他者に自分の自己肯定感を満たしてもらっている
ということになります。


他者に必要とされなくなったら終わりです。

他者が自立してしまっては困ることになります。
必要とされなくなれば他の人を探すことになりますが、
このような生き方をしている人は、
同じように自分を必要としてくれる人=依存的な人を探し当てます。

しかしそのような不健全な関係は永遠に続くものではありません。
「共依存」的な方が、いつも同じような人と付き合い、いつも同じような別れ方をするケースが多いのは、このループから抜け出せていないからです。

自分で自分自身を満たすようにしていかなければいけません。
他者に自己肯定感を満たしてもらうという認識を改めること、
これを自覚し正していくことが負のループから抜け出す第一歩となります。

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このページの記事を書いた人
大村祐輔(オオムラユウスケ)
共依存で悩むあなたに「とことん付き合う」の精神で活動。あらゆるジャンルの学びから日常生活におけるささいな気付きまで、すべてをカウンセリングに活かす貪欲さを意識。 機能不全家庭で育ち、大学時代に共依存を研究、銀行員を経て、不倫をされ離婚したことをきっかけに現在のカウンセラーの道へ。7年間で約1,500名、カウンセリング回数約10,000回の経験から得たものを還元できるよう尽力。現在は再婚し、子育てから多くのことを学ぶ日々、そして感謝。詳しいプロフィールはこちら

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