「すれ違い」を感じたら「投影」を意識してみる
「投影」とは何でしょうか?
心理学、精神医学の用語で、
無意識の作用による自我の防衛機制の一つです。
無意識で自分を守ることの一つです。
「投射」ともいいます。
難しい言葉を使われても困ると思いますので嚙み砕いて説明すると、
自分の欲求や感情等を自分自身で認められない、あるいは望ましくない、と判断した場合に、それらの欲求や感情等が自分のものではなく他人にあるかのように感じとる作用のことです。
無意識の責任転嫁とでも言いましょうか。
この「投影」を知っておくと、何か非難された時に冷静に聞くことができます。
特に、毒親・アスペルガー症候群・自己愛性パーソナリティ障害の人から、「(その私に言っていること)あなたのことだよね」と思うような発言をされることがあると思います。
そんな時はこの「投影」を疑ってみましょう。
例えば、
「人のせいにするな」「嘘をつくな」「話をすり替えるな」などと言われた時に、「もしかしたらこれって投影かも?相手は自分のことを私に責任転嫁して言ってきているんだな」と真に受けることなく冷静に受け止めることができます。
そのため、「これは自分の問題ではなく相手の問題だ」と捉えることができ、自分で自分を必要以上に責めることを防ぐことができます。
自分が自分に不満を持っているのに、相手に不満があるように思えてしまう。
自分が自分を嫌っているのに、相手が自分を嫌っているように見えてしまう。
ということがよくあるわかりやすい例です。
こうした例はわかりやすいですが、わかりにくい例を以下に記載します。
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<相談内容から見る投影の例①>
奥様からの相談
主人がいつも不機嫌そうな顔をしていて、
「私のことを怒っているのでは?」と感じて不安で仕方ないのですが…。
これは奥様の自信のなさをご主人に映し出しているケース。
実際はご主人は何か考え事をしているだけだったのです。
不機嫌そうな顔というのはあくまでも奥様が感じただけであり、
本当はご主人の真剣な顔つきだったわけです。
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<相談内容から見る投影の例②>
「なんでそんなに離婚したくないの?世間体が気になるの?」
修復を望むお客様はこういったことをパートナーによく言われることがあります。
でもその修復を望むお客様はそれ程世間体を気にしていません。
ただただ純粋に修復に向けて話し合いをしたいという思いのみです。
だいたいの場合において、それはパートナーが世間体を気にしているのです。
自分の不安をパートナーに映し出して押しつけているのです。
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<相談内容から見る投影の例③>
「あなたは変われないよね?変わろうとしないよね?」
とパートナーに言われて落ち込んでいたお客様からのご相談です。
よくよくパートナーの生育歴を聞いてみると、
パートナーの方が変われない状態が続いていたのです。
変わりたいのに変われないもどかしさをお客様に投影して押しつけていたのです。
お客様も確かに変われない要素はあったのかもしれませんが、それはお互い様だったのです。
それが理解できれば、落ち込んだり感情的にならずに済みますし、
パートナーを愛おしく思うこともできるかもしれません。
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人は誰もがこれまで生きてきた経験から起きる、
感情というフィルターを通して人を見ています。
人によって見えているものが違うということです。
このことを知っているだけでも夫婦喧嘩になった時に少し冷静になれるのです。
自分にはフィルターがあるんだな、と。
逆に言えば、相手にもフィルターがあるんだよな、と。
感情的になって喧嘩になっている時はお互いに視野が狭くなっているものです。
自分でもびっくりするくらい思ってもいないことを口走ったり、
相手の言葉を真に受けたり。
相手だって思いもしないことを口走って後悔してることもあるんですよ。
それを真に受けてしまってよりいっそう収拾がつかなくなったり。
延々とケンカが続くことってないですよね?
続きは明日あさって来週に持ち越しになったり。
一日の話し合いの中でも一呼吸置くタイミングってありますよね?
数十分数時間も話していればいつかは休戦しますよね?
夜遅くなって寝ないといけなかったり、
お腹が空いて食事タイムになったり、
どちらかがトイレに行ったりお風呂に行ったり、
用事があって出かけなくてはいけない時があったり、
そんなタイミングで自分の発言や行動、
そして相手の発言や行動を振り返ると良いと思います。
「こんな人だと思わなかった」
と感じることが結婚直後の夫婦によく見られます。
これに関しても、自分が何らかの影響で不安になっているからそう見えるだけなのかもしれません。
それもまた「投影」であり、相手の本当の姿とは限りません。
「こんな人だと思わなかった」の前にぜひ自分の内面を見つめてみてください。
共依存で悩むあなたに「とことん付き合う」の精神で活動。あらゆるジャンルの学びから日常生活におけるささいな気付きまで、すべてをカウンセリングに活かす貪欲さを意識。 機能不全家庭で育ち、大学時代に共依存を研究、銀行員を経て、不倫をされ離婚したことをきっかけに現在のカウンセラーの道へ。7年間で約1,500名、カウンセリング回数約10,000回の経験から得たものを還元できるよう尽力。現在は再婚し、子育てから多くのことを学ぶ日々、そして感謝。→詳しいプロフィールはこちら
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