共依存はなぜいけないのか?疲弊する人間関係に終止符を
【この記事を読んでわかること】
・共依存関係がもたらす心身への深刻な影響と長期的なダメージ
・共依存を続けると起こる4つの問題と抜け出せない心理的メカニズム
・恋愛・夫婦関係、親子関係、職場での共依存の具体的な事例
・ホメオスタシスが引き起こす共依存の固定化の恐ろしさ
共依存関係というのは、一見愛情深く見える関係性ですが、実は自分と相手を不幸にしていくものです。
この記事では、共依存が人生を破壊する仕組みと抜け出せない理由を具体例と共に解説します。
共依存はなぜいけないのか、何が悪いのかを理解する助けとなれば幸いです。
目次
抜け出せない負のループと深刻な影響
「私がいないと、この人はダメになってしまう」
「尽くすことが愛であり、私の存在価値だ」
このような思考に心当たりはありませんか?
一見すると、それは深い愛情や献身のように見えるかもしれません。
しかし、これが共依存の状態である場合、あなたの心・体・人生すべてが蝕まれてしまう危険があります。
共依存は健全な人間関係を阻害し、自己の尊厳を損ない、最終的には自分自身を見失う結果を招くのです。
ここでは、共依存がなぜいけないのか?について、具体例や後遺症を交えて詳しく解説します。
共依存が問題な理由—なぜやめるべきなのか?
① 自己犠牲が常態化し、心身をボロボロにする
共依存の人は、「相手のために頑張ることが愛」だと信じています。
しかし、その結果自分自身をないがしろにすることで、次のような問題が起こります。
☑ストレスが増大し、うつや不安障害を発症する
☑睡眠障害など、体調を崩しやすくなる
☑「私はこれでいい」と感情が麻痺し、自分の本当の気持ちがわからなくなる
→ 自分を犠牲にし続けることで、人生の選択肢が狭まり、幸福感が減少します。
② 相手の自立を妨げ、共倒れする
共依存の関係では、片方が相手を助け続けることで、相手の自立を妨げることがよくあります。
依存される側:「私がいないとこの人は生きていけない」と思い込み、相手を甘やかす
依存する側:「この人がいれば何とかなる」と思い込み、自分で考え行動する力を失う
その結果、 共倒れになり、どちらも苦しむ状態に陥ります。
→ 本当の愛は「支え合う」ことであり、「依存し合う」ことではありません。
③ 相手の問題行動がエスカレートする
共依存が続くと、次第に相手の問題行動(浮気・モラハラ・DVなど)がエスカレートしていきます。
しかし、共依存の人は「まだ耐えられる」「私が頑張ればこの人は変わる」と思い込み、状況を悪化させることが多いのです。
☑暴力やモラハラを受けても「自分が悪い」と思ってしまう
☑相手の浮気や不倫を許し続けてしまう
☑お金や時間を相手に搾取されても「助けないと」と思い込む
この状態が続くと、やがて「もっと酷い相手」になっていき、負のループが強固になってしまうのです。
→ 我慢し続けても相手は変わりません。むしろ、あなたが「どこまでなら受け入れて、どこからは受け入れないか」といった線引きをしない限り、相手をモンスター化(モラハラ体質化)させてしまいます。
④ 自分を見失い、関係が終わると喪失感(離脱症状)に苦しむ
共依存関係では、「支えること・支えられること」が前提になっているため、どちらかが離れようとすると強い不安や恐怖が生じます。
☑「私はこの人なしでは生きていけない」と思い込む
☑「こんなに尽くしたのに、どうして?」と裏切られた気持ちになる
☑相手に依存しすぎていたため、自分を見失い、無気力になる
こうした喪失感(離脱症状)によって、多くの人がまた同じような相手を求めてしまうのです。
→ 健全な関係を築くためには、一度「自分はどう生きたいのか?」を見つめ直すことが必要です。
→喪失感(離脱症状)に耐えながら、すぐに次の人に飛びつかず、一人でいられるようにすることも大事です。
共依存体質は対処しないと強化される
共依存体質は放っておくと悪化する性質があります。
最初は「相手を助けたい」という純粋な気持ちだったかもしれません。
しかし、気づかないうちに相手を助けることが自分の存在意義になってしまいます。
☑相手のために尽くすのが当たり前になってしまう
☑自分のことより相手の感情を優先する癖がつく
☑どんなに酷いことをされても許してしまう
この結果、相手の問題行動(モラハラ・浮気・DVなど)がエスカレート するのです。
→ 共依存は「そのままで良い関係」ではなく、時間が経つほど深刻化していく危険な関係です。
「ホメオスタシス」が共依存体質を固定化させる
共依存の関係が長く続くと、「これが普通」「こういう関係しか自分には合わない」という思考が生まれます。
これは「ホメオスタシス(恒常性維持)」によるものです。
ホメオスタシスとは、 人間が無意識のうちに「慣れた状態」に戻ろうとする性質 です。 |
そのため、別れて次に付き合った人が自立した人であっても、共依存のような関係性に無意識で持ち込んでしまいます。
☑どんなに自立した相手でも、それを気持ち悪く思ってしまう
☑健全な人と付き合っても「居心地が悪い」と感じ、結局また同じタイプを選んでしまう
☑安定や幸せに慣れていないため、ぶち壊そうとしてしまう
☑「苦しいけれど、これが私の生き方」と諦めてしまう
→ 共依存を繰り返してしまう人は、「相手を(他の人に)換えれば大丈夫」と思いがちですが、実は自分自身の思考のクセを変えないと同じ関係を繰り返してしまいます。
このような性質が人にはあるんだ、と知っておくだけで良いです。 自分はもしかして「幸せを壊そうとしてる?」と行動を起こす前にとどまることができるようになってきます。 |
具体例—共依存の関係にあると、どんなことが起こるのか?
共依存は恋愛・夫婦関係・親子関係・職場など、さまざまな場面で発生します。
恋愛・夫婦関係の共依存の例
☑相手が浮気を繰り返しても「私がもっと愛せば変わる」と思い込む
☑DVやモラハラを受けても「この人は本当は優しい」と信じてしまう
☑相手の借金を肩代わりし続けるが、感謝もされない
☑別れようとしても「この人には私が必要だから」と離れられない
→ 一度この関係にハマると、次も同じような人を選んでしまう傾向があります。
以下の例は、先程のホメオスタシスによって関係を壊してしまう例となります↓
せっかく誠実な人と出会えても… | |
Sさんは長年モラハラ夫と共依存関係にありましたが、ようやく離婚。 しかし、穏やかな日々が半年ほど続いた頃、Sさんは無意識で関係を悪化させる以下のような行動をとり始めたのでした。
・相手が「今日は友人と会いに行くよ」と言うと、「本当は私に飽きたんだ」と不安になり、LINEを連続で送り、監視するような行動を始める ・「こんなに平和な関係はおかしい」と感じ(無自覚です)、自分から喧嘩を仕掛ける ・「あなたはいつか私を捨てるんでしょ」と何度も確認し、相手を疲弊させる
結果、男性に別れを告げられてしまいました。 このように、健全な関係を築けるチャンスがあったにもかかわらず、「苦しくても慣れている関係性」に引き戻してしまうのです。 |
<関連ページ>
親子関係の共依存の例
☑親の期待に応えるために、子供が自分の人生を犠牲にする
☑「親の世話をしないと私はダメな人間だ」と思い込む
☑子供が自立しようとすると、親が罪悪感を植え付ける(「親不孝だ」など)
☑親が「あなたがいないと生きていけない」と言い、子供を支配する
→ 共依存の親子関係は、子供の自立を妨げ、生涯にわたる影響を及ぼします。
<関連ページ>
職場の共依存の例
☑上司や同僚に無理な仕事を押し付けられても断れない
☑「自分がやらなければ職場が回らない」と思い込む
☑ブラック企業でも「ここを辞めたら自分は何の価値もない」と考えてしまう
☑同僚や上司の機嫌を常に気にし、精神的に疲弊する
→ 共依存は、恋愛や家庭だけでなく、職場環境でも発生します。
まとめ:それでも共依存を続けますか?
共依存を続けると、自己犠牲が当たり前になり、気づかないうちに自分自身を完全に見失ってしまいます。
さらに悪いことに、あなたは問題のある相手を繰り返し引き寄せ、関係性は徐々に悪化していくでしょう。
ホメオスタシスの影響で、不健全でも「慣れた関係」に戻ろうとする無意識の力が働き、抜け出すことがますます難しくなります。
そして避けられないのは、相手の問題行動がエスカレートし、状況は時間とともに悪化していくという現実です。
あなたの許容範囲が広がれば広がるほど、相手の行動は悪化していきます。
最終的には、あなたは自分の人生を自分らしく生きることができなくなり、ただ誰かのために存在するだけの空虚さに苦しむことになるでしょう。
それでも共依存を続けたいですか?
自分の立ち位置を知ろう
この記事を読むような方は、「自分は共依存なのではないか」と感じていて、「共依存であることはなんとなく良くないのではないか」と思いつつも、なんとなく今まで生活できてきたから「まぁこのままでも大丈夫か」と思うような方が多いのではないでしょうか?
この記事を読んで、少しは共依存の恐ろしさを感じていただけたでしょうか?
なかなか現実を受け入れられないかもしれませんが、少しずつ自分の立ち位置(現在地)を知っていきましょう。
今の状況をぜひ教えてください。
共依存を克服したらどんな生活が待っているのか
共依存克服までどんな道のりがあるのだろうか
共依存は治せるのかどうか
共依存を続けた場合の末路はどんなものだろうか
といった点について、あなたの状況に合わせた回答ができると思います。
どんなことでもそうですが、現在の状況がわかれば、ゴールまであと何歩なのかがわかります。
逆にそれが分からなければ、そこに向かうまでのモチベーションが続きませんよね。
ゴールまであと何歩なのかをわかっていれば、あと少しというところまで来ていてもう一頑張りなのに、ゴール直前であきらめてしまったりすることもないでしょう。
ゴールが見えていればもう一頑張りできるでしょう。
共依存にもいろいろな形があります。
みんなそれぞれ違います。
ぜひ共依存克服後の新しい自分、新しい生活を感じてほしいと思います。
この記事を書いた人 | |
共依存・夫婦問題カウンセラー大村祐輔 9年間で約800人、60分×約13,000回のカウンセリング実績から得た知識や経験を還元できるよう日々尽力しています。 大村の理念は「夫婦問題を解決して終わりじゃない」「離婚して終わりじゃない」「根本からの自己改革」です。 共依存で悩むあなたに「とことん付き合う」の精神で活動しています。 日本学術会議協力学術研究団体 メンタルケア学術学会認定 メンタルケア心理士 資格番号E1607030023 一般社団法人 ハッピーライフカウンセリング協会認定 離婚カウンセラー 会員番号200017 →詳しいプロフィールはこちら |