共依存はなぜいけないのか?
目次
抜け出せない負のループと深刻な影響
「私がいないと、この人はダメになってしまう」
「尽くすことが愛であり、私の存在価値だ」
このような思考に心当たりはありませんか?
一見すると、それは深い愛情や献身のように見えるかもしれません。
しかし、これが共依存の状態である場合、あなたの心・体・人生すべてが蝕まれてしまう危険があります。
共依存は健全な人間関係を阻害し、自己の尊厳を損ない、最終的には自分自身を見失う結果を招くのです。
ここでは、共依存がなぜいけないのか?について、具体例や後遺症を交えて詳しく解説します。
共依存が問題な理由—なぜやめるべきなのか?
① 自己犠牲が常態化し、心身をボロボロにする
共依存の人は、「相手のために頑張ることが愛」だと信じています。
しかし、その結果自分自身をないがしろにすることで、次のような問題が起こります。
☑ストレスが増大し、うつや不安障害を発症する
☑睡眠障害など、体調を崩しやすくなる
☑「私はこれでいい」と感情が麻痺し、自分の本当の気持ちがわからなくなる
→ 自分を犠牲にし続けることで、人生の選択肢が狭まり、幸福感が減少します。
② 相手の自立を妨げ、共倒れする
共依存の関係では、片方が相手を助け続けることで、相手の自立を妨げることがよくあります。
依存される側:「私がいないとこの人は生きていけない」と思い込み、相手を甘やかす
依存する側:「この人がいれば何とかなる」と思い込み、自分で考え行動する力を失う
その結果、 共倒れになり、どちらも苦しむ状態に陥ります。
→ 本当の愛は「支え合う」ことであり、「依存し合う」ことではありません。
③ 相手の問題行動がエスカレートする
共依存が続くと、次第に相手の問題行動(浮気・モラハラ・DVなど)がエスカレートしていきます。
しかし、共依存の人は「まだ耐えられる」「私が頑張ればこの人は変わる」と思い込み、状況を悪化させることが多いのです。
☑暴力やモラハラを受けても「自分が悪い」と思ってしまう
☑相手の浮気や不倫を許し続けてしまう
☑お金や時間を相手に搾取されても「助けないと」と思い込む
この状態が続くと、やがて「もっと酷い相手」になっていき、負のループが強固になってしまうのです。
→ 我慢し続けても相手は変わりません。むしろ、あなたが「どこまでなら受け入れて、どこからは受け入れないか」といった線引きをしない限り、相手をモンスター化させてしまいます。
④ 自分を見失い、関係が終わると喪失感(離脱症状)に苦しむ
共依存関係では、「支えること・支えられること」が前提になっているため、どちらかが離れようとすると強い不安や恐怖が生じます。
☑「私はこの人なしでは生きていけない」と思い込む
☑「こんなに尽くしたのに、どうして?」と裏切られた気持ちになる
☑相手に依存しすぎていたため、自分を見失い、無気力になる
こうした喪失感(離脱症状)によって、多くの人がまた同じような相手を求めてしまうのです。
→ 健全な関係を築くためには、一度「自分はどう生きたいのか?」を見つめ直すことが必要です。
→喪失感(離脱症状)に耐えながら、すぐに次の人に飛びつかず、一人でいられるようにすることも大事です。
共依存体質は対処しないと強化される
共依存体質は放っておくと悪化する性質があります。
最初は「相手を助けたい」という純粋な気持ちだったかもしれません。
しかし、気づかないうちに相手を助けることが自分の存在意義になってしまいます。
☑相手のために尽くすのが当たり前になってしまう
☑自分のことより相手の感情を優先する癖がつく
☑どんなに酷いことをされても許してしまう
この結果、相手の問題行動(モラハラ・浮気・DVなど)がエスカレート するのです。
→ 共依存は「そのままで良い関係」ではなく、時間が経つほど深刻化していく危険な関係です。
「ホメオスタシス」が共依存体質を固定化させる
共依存の関係が長く続くと、「これが普通」「こういう関係しか自分には合わない」という思考が生まれます。
これは「ホメオスタシス(恒常性維持)」によるものです。
ホメオスタシスとは、 人間が無意識のうちに「慣れた状態」に戻ろうとする性質 です。
そのため、別れて次に付き合った人が自立した人であっても、共依存のような関係性に無意識で持ち込んでしまいます。
☑どんなに自立した相手でも、それを気持ち悪く思ってしまう
☑健全な人と付き合っても「居心地が悪い」と感じ、結局また同じタイプを選んでしまう
☑安定や幸せに慣れていないため、ぶち壊そうとしてしまう
☑「苦しいけれど、これが私の生き方」と諦めてしまう
→ 共依存を繰り返してしまう人は、「相手を(他の人に)換えれば大丈夫」と思いがちですが、実は自分自身の思考のクセを変えないと同じ関係を繰り返してしまいます。
具体例—共依存の関係にあると、どんなことが起こるのか?
共依存は恋愛・夫婦関係・親子関係・職場など、さまざまな場面で発生します。
恋愛・夫婦関係の共依存の例
☑相手が浮気を繰り返しても「私がもっと愛せば変わる」と思い込む
☑DVやモラハラを受けても「この人は本当は優しい」と信じてしまう
☑相手の借金を肩代わりし続けるが、感謝もされない
☑別れようとしても「この人には私が必要だから」と離れられない
→ 一度この関係にハマると、次も同じような人を選んでしまう傾向があります。
親子関係の共依存の例
☑親の期待に応えるために、子供が自分の人生を犠牲にする
☑「親の世話をしないと私はダメな人間だ」と思い込む
☑子供が自立しようとすると、親が罪悪感を植え付ける(「親不孝だ」など)
☑親が「あなたがいないと生きていけない」と言い、子供を支配する
→ 共依存の親子関係は、子供の自立を妨げ、生涯にわたる影響を及ぼします。
職場の共依存の例
☑上司や同僚に無理な仕事を押し付けられても断れない
☑「自分がやらなければ職場が回らない」と思い込む
☑ブラック企業でも「ここを辞めたら自分は何の価値もない」と考えてしまう
☑同僚や上司の機嫌を常に気にし、精神的に疲弊する
→ 共依存は、恋愛や家庭だけでなく、職場環境でも発生します。
それでも共依存を続けますか?
☑ 自己犠牲が当たり前になり、自分を見失う
☑問題のある相手を引き寄せ、より酷い関係を繰り返す
☑ ホメオスタシスの影響で、抜け出すのが難しくなる
☑ 相手の問題行動がエスカレートし、状況が悪化する
☑ 最終的には、自分の人生を生きられなくなる
それでも共依存を続けますか?
自分の立ち位置を知ろう
自分が共依存であるかどうか、なんて知りたくないですよね?
知るのってなかなか勇気がいりますよね?
できれば共依存でないことを願いますよね?
さらには、自分は共依存なのではないかと感じていて、共依存であることはなんとなく良くないのではないかと思いつつも、なんとなく生活できてるから「まぁ、大丈夫か」と思ったり。
恐怖だったり、なかなか勇気が出ない理由として、
共依存を克服したらどんな生活が待っているのか
共依存克服までどんな道のりがあるのだろうか
共依存は治せるのかどうか
共依存がなぜいけないのか
共依存を続けた場合の末路はどんなものだろうか
などが挙げられます。
こういった事が明確ではないからだと感じています。
このように、共依存克服以前の悩みや疑問を抱えている方が多くいらっしゃいます。
次のページに、
自分自身が共依存であることを「自覚」することが最初のステップです、
と書きましたが、「自覚」したくないという声も多くあります。
そもそも共依存から抜け出したくないという声もあります。
共依存克服へ踏み出せるところまでいったら、まずは自分がどの立ち位置にいるかどうかを知ることから始めましょう。
自分の立ち位置が分かれば、あとどのくらいで共依存から脱却できるのかが分かるからです。
どんなことでもそうですが、ゴールまであと何歩なのかが分からなければ、そこに向かうまでのモチベーションが続きませんね。
ゴールまであと何歩なのかをわかっていれば、あと少しというところまで来ていてもう一頑張りなのに、ゴール直前であきらめてしまったりすることもないでしょう。
ゴールが見えていればもう一頑張りできるでしょう。
共依存にもいろいろな形があります。
みんなそれぞれ違います。
ぜひ共依存克服後の新しい自分、新しい生活を感じてほしいです。
- このページの記事を書いた人
大村祐輔(オオムラユウスケ) 共依存で悩むあなたに「とことん付き合う」の精神で活動。あらゆるジャンルの学びから日常生活におけるささいな気付きまで、すべてをカウンセリングに活かす貪欲さを意識。 機能不全家庭で育ち、大学時代に共依存を研究、銀行員を経て、不倫をされ離婚したことをきっかけに現在のカウンセラーの道へ。9年間でカウンセリング回数約13,000回の経験から得たものを還元できるよう尽力。現在は再婚し、子育てから多くのことを学ぶ日々、そして感謝。 → 詳しいプロフィールはこちら