目次
この記事を読んでわかること
- ・夫婦間の言葉の誤解は「心のフィルター」が原因であること。
- ・テキストメッセージは特に誤解を生みやすいこと。
- ・関係修復には、お互いのフィルターに気づくことが重要であること。
- ・具体的な方法で心のフィルターを外せること。
- ・フィルターを外すと、より良いコミュニケーションが生まれること。
目次
「最近、パートナー(夫・妻)の言葉がなんだかトゲトゲしく感じる…」「前は気にしなかった些細な一言に、なぜかイライラしてしまう…」
もしあなたがそう感じているなら、それはお互いの心にかかった「フィルター」、まるで色眼鏡のようなものが原因かもしれません。
信頼し合っていた頃には、何気ない「おはよう」の一言でさえも温かく感じられたのに、関係がこじれてしまうと、同じ言葉が冷たく、あるいは皮肉っぽく聞こえてしまう。
まるで、相手の言葉がネガティブなフィルターを通して歪んで聞こえてくるように感じることはありませんか?
そうした悩みを抱えるご夫婦がたくさんいらっしゃいます。
私自身も、長年のカウンセリング経験を通して、この「フィルター」が夫婦関係に与える影響の大きさを痛感してきました。
この見えない心のメガネの正体を探り、その外し方を具体的にお伝えしていきたいと思います。
<関連ページ>心のフィルターは認知のゆがみの一つです。
私たちは、相手の言葉を耳で聞いているように思っていますが、実は脳が過去の経験や感情、そして今の関係性というフィルターを通して、その言葉の意味を解釈しています。
例えば、あなたが過去にパートナーから何度も批判された経験があるとしましょう。
すると、その後パートナーがあなたに何かを提案した時、あなたの脳は無意識のうちに「また何か批判されるんじゃないか」「否定されるんじゃないか」というフィルターを通して、その言葉を受け止めてしまう可能性があります。
たとえ、パートナーが純粋にあなたのことを思って提案したとしても、です。
これは、夫婦関係において非常に根深い問題です。
一度このフィルターがかかってしまうと、相手の言葉の真意が伝わりにくくなり、些細なことでも感情的な対立を生んでしまう可能性があります。
まるで、お互いが違う言語を話しているかのように、コミュニケーションがすれ違ってしまうのです。
この「フィルター」の問題は、直接的な会話だけでなく、メールやLINEといったテキストメッセージにも当てはまります。
文字情報だけでは、相手の表情や声のトーン、身振り手振りといった非言語的な情報が一切伝わりません。
そのため、私たちはどうしても自分の感情や過去の経験というフィルターを通して、相手の言葉を解釈してしまいがちです。
例えば、日中に夫が妻に「今日、飲み会になったよ。遅くなる」とLINEを送ったとします。
信頼関係が揺らいでいる状態だと、妻は「また私を置いて遊びに行くんだ」「私のことなんてどうでもいいんだ」といったネガティブなフィルターを通してこのメッセージを受け取ってしまうかもしれません。
もしかしたら、夫は妻に心配をかけないように、先に伝えておこうと思っただけかもしれません。
このように、顔が見えないコミュニケーションは、どうしても誤解を生みやすいものです。
便利なツールではありますが、大切な話や誤解が生じやすい内容については、できる限り直接会って、顔を見ながら話し合うことをお勧めします。
夫婦関係を改善していくためには、まずお互いがどのような「フィルター」を通して相手を見ているのかに気づくことが大切です。
相手は、私のどんな言葉遣いや態度に対して、嫌なフィルターをかけてしまうのだろうか?(例:「また始まった」「どうせ私のことなんて…」など)
私自身は、相手のどんな言葉や態度に対して、過剰に反応したり、ネガティブに解釈してしまっているのだろうか?(例:「私のことをバカにしている」「私の気持ちを分かってくれない」など)
このように、少し立ち止まって考え、相手の立場になって想像してみることで、今まで見えなかった「フィルター」の存在に気づくことができるはずです。
では、この厄介な「フィルター」を外すために、具体的にどんなことができるのでしょうか?
・「もしかしたら…?」と想像力を働かせる: 相手の言葉に対してネガティブな感情が湧き上がったら、すぐに反応するのではなく、「もしかしたら、別の意味があるのかもしれない」「何か事情があるのかもしれない」と、少し想像力を働かせてみましょう。
「パートナーの言動や行動がもしプラスの意味だとしたら…?」と仮定してみる、と言い換えても良いかもしれません。
例: パートナーが疲れていて返事がそっけなかった時。「また私のこと冷たいんだ」とすぐに思うのではなく、「仕事で何かあったのかな?」「体調が悪いのかもしれない」と考えてみる。
・具体的な言葉で確認する: 曖昧な表現や、少しでも引っかかる言葉があったら、「〇〇って言ったのは、どういう意味?」と、相手に直接確認してみましょう。感情的に問い詰めるのではなく、冷静に、そして相手を理解したいという気持ちを持って尋ねることが大切です。
例: パートナーが「別に」と言った時。「どうでもいいってこと?」と決めつけるのではなく、「何かあった?話せることなら聞きたいな」と優しく聞いてみる。
・「私はこう感じた」と主語を自分にして伝える: 相手の言動に対して、あなたがどんな気持ちになったのかを、責めるのではなく、素直に伝えましょう。「あなたはいつも~」という言い方ではなく、「私は〇〇と言われると、△△と感じて、少し寂しい気持ちになるんだ」のように、主語を「私」にして伝えること(Iメッセージ)で、相手は攻撃されていると感じにくくなります。
・相手の良いところに意識を向ける練習をする: ついつい相手の悪いところばかりに目が行きがちですが、意識的に相手の良いところを探し、言葉に出して伝えてみましょう。「いつも頑張ってくれてありがとう」「あなたのそういう優しいところが好きだよ」といった感謝の言葉は、お互いの心に温かい光を灯し、ネガティブなフィルターを弱める効果があります。
・過去の感情に縛られない: 過去の嫌な出来事や感情的なわだかまりが、今のコミュニケーションに影響を与えていることがあります。「また同じことが繰り返されるんじゃないか」という不安が、相手の言葉を歪めてしまうこともあるでしょう。過去の感情は一旦置いて、今の相手と、今の状況に焦点を当てるように意識しましょう。切り離して考えましょう。
・二人で一緒に「対話の時間」を作る: 忙しい毎日の中でも、意識的に夫婦でゆっくりと話し合う時間を作りましょう。カフェでのお茶でも、寝る前の少しの時間でも構いません。お互いの気持ちや考えていることを共有することで、誤解を防ぎ、心の距離を縮めることができます。
夫婦の間で、お互いの「フィルター」が外れたとき、初めて本当の意味での温かい会話が始まります。
それは、表面的で事務的なやり取りではなく、お互いの気持ちや考えを深く理解し合える、心と心の繋がりを感じられる瞬間です。
まるで、曇り空が晴れて、太陽の光が差し込むように、二人の関係が明るく照らされるでしょう。
長年連れ添った夫婦であっても、相手の理解力に甘えることなく、常に相手の気持ちを丁寧に汲み取る努力を続けることこそが、良好な関係を維持する秘訣です。
もし今、夫婦関係で悩みを抱えているのであれば、一人で抱え込まず、まずは小さな一歩を踏み出してみませんか?
良い夫婦関係を築けるよう、全力でサポートさせていただきます。
どんな些細なことでも構いません。遠慮なくご相談ください。
この記事を書いた人 | |
共依存・夫婦問題カウンセラー大村祐輔 9年間で約800人、60分×約13,000回のカウンセリング実績から得た知識や経験を還元できるよう日々尽力しています。 大村の理念は「夫婦問題を解決して終わりじゃない」「離婚して終わりじゃない」「根本からの自己改革」です。 共依存で悩むあなたに「とことん付き合う」の精神で活動しています。 日本学術会議協力学術研究団体 メンタルケア学術学会認定 メンタルケア心理士 資格番号E1607030023 一般社団法人 ハッピーライフカウンセリング協会認定 離婚カウンセラー 会員番号200017 →詳しいプロフィールはこちら |