言葉の定義のズレが原因:夫婦喧嘩の真相
目次
「話がかみ合わない…」その原因は?夫婦喧嘩の本質とは
「なんで話がかみ合わないの?」
「他の人とは通じるのに!」
そんな経験はありませんか?
実は、夫婦喧嘩の多くは「言葉の定義のズレ」によって引き起こされています。
もっと言えば、言葉の定義が人によって違うことを認識していないことや、相手の言葉の意味を想像しようとしないことが原因となっているのです。
人はそれぞれ異なる環境で育ち、異なる経験をしているため、同じ言葉を使っていても意味するものが微妙に異なることがあります。
人それぞれ独自の意味がついているのです。
しかし、それに気付かずに会話をしていると、お互いに誤解し、すれ違いが生じてしまいます。
特に共依存体質の人は、一心同体感が強く、つい自分と相手は同じと思ってしまいがちですので注意が必要です。
親子よりも夫婦の方が「言葉の定義のズレ」が大きくなる理由
親子の場合、長い間一緒に暮らしているため、使う言葉の定義がある程度一致していることが多いです(ただし、親子の言語能力に差があったり、いずれかに発達特性がある場合にはこの限りではありません)
しかし、夫婦は元々まったくの他人同士です。
そのため、言葉の定義が一致していないことによる誤解が起こりやすく、小さなズレが大きな喧嘩につながる可能性があります。
ここで重要なのは「価値観の違い」ではなく、「言葉の定義の違い」であるという点です。
例えば、芸能人の離婚理由で「価値観の違い」というフレーズがよく使われますが、実際にはお互いの言葉の意味を確認し合っていなかったことが本当の原因であることも多いのです。
どんな言葉も相手は自分とは違う意味で使っているという前提でいましょう。 |
「優しさ」の定義とは?夫婦喧嘩の典型例
よくある例として、妻が夫に「もっと優しくして欲しい」と言う場面を考えてみましょう。
この時、「優しさ」の意味が夫婦で一致していなかったらどうなるでしょうか?
「優しさ」と一言で言っても、人によって以下のように捉え方が異なります。
ここで問題なのは、「優しさ」の意味が夫婦で一致しているかどうかです。
・「話を聞いて欲しい」
・「家事を手伝って欲しい」
・「抱きしめて欲しい」
etc
「察して欲しい」という気持ちもわかりますが、相手に伝わらなければ意味がありません。
そのため、「もっと優しくしてほしい」ではなく、「○○してくれると嬉しい」という具体的な伝え方を心がけましょう。
他にも、夫婦カウンセリングなどで「大事にしてよ」「ちゃんとやってよ」のようなあいまいな言葉を使っているのをよく耳にしますが、自分が意図する意味で伝わっているとは限りません。お互いの言葉の意味のすり合わせを適宜行ってくださいね。 |
「察してくれて当然」という考えはNG
察してくれて当然、という前提で話をすると、すれ違いが生じやすくなります。
大事な考え方なので覚えておいて欲しいのですが、もし夫が自分の望む反応をしてくれたら、それは夫のファインプレーです。
伝わるはずのないことを汲み取ってくれたという点でファインプレーなのです。
決して「察してくれて当然だよね」という評価をしてはいけません。
ですから、逆に、夫が間違った対応をしたとしても責めるべきではありません。
なぜなら、言葉にしなければ伝わらないのが普通だからです。
夫の側も、「もっと優しくして欲しい」と言われた時に、「どういう意味?」と尋ねることが重要です。
そういう意味では、あいまいな表現によって喧嘩になった場合というのは、
あいまいな表現で言った方も、それを言われて聞かなかった方も、どちらにも問題があるということになります。
夫婦どちらか一方だけが悪いということはないということです。
夫婦で喧嘩になりそうになったら、一呼吸おいて聞いてみてください。
「あなたの言っている○○ってどういう意味?」と。
(○○には「優しい」とか「愛」とか「幸せ」とか「寂しい」とか、気になる言葉、誤解を招きやすい抽象的な言葉を入れてください)
聞かれた方も、「なんでわからないの?」と怒らずに、丁寧に説明してあげてください。
最初からあうんの呼吸はありません。結婚前にはそれがわかっていても、結婚した瞬間にわからなくなる人がいます。結婚したら突然テレパシーが使えるようになるわけではありませんからね。 |
誤解が命に関わることも
新型コロナウイルスの流行初期、「軽症」という言葉に多くの人が油断してしまいました。
・医療従事者の「軽症」→命に別状はないが、高熱や肺炎などの症状がある
・一般の人の「軽症」→風邪程度の軽い症状
同じ言葉でも使う立場によって意味が異なるため、誤解が生じました。
この「言葉の定義のズレ」が、感染拡大を助長した面があったと思います。
医療従事者が使う「軽症」の意味と、一般の人たちが使う「軽症」の意味に、かなり開きがあった、ということです。
もしこの開きがなければ、もう少し感染拡大を抑えられたように思います。
同じ言葉でも、立場によって言葉の意味(定義)が変わる、ということがよくわかる例だと思います。
カサンドラ症候群になりやすい人への注意喚起
「いくら言葉の定義に気を付けてと言われても…」「そうは言ってもね…」と思う方もいると思います。
相手が発達特性(ASDなど)を持っている場合、いくら自分が気を付けていても難しいことがあります。
こんなことが続いていませんか?
・言葉の定義のズレによって会話が成立していないのに、相手はそれを問題だと思っていない
・言葉の定義のズレを何度説明しても、相手はそれを理解できない
・言葉の定義のズレを何度説明しても、相手はそれを忘れてしまう
etc
こうした状況があまりにも続くようなら、おそらくあなたが悪いわけではない可能性があります。
「自分の伝え方が悪いのだろうか?」と思ってしまい過ぎる人は要注意です。
それが慢性化すると、カサンドラ症候群に陥る可能性があります。
同時に、「相手にも問題があるのではないか」という思いも持ってくださいね。
まとめ:言葉の定義のズレを防ぐには?
・夫婦喧嘩の原因の多くは「価値観の違い」ではなく「言葉の定義のズレ」
・あいまいな表現を避け、具体的な言葉で伝えることが大切
・「〇〇ってどういう意味?」と聞く習慣をつける
・カサンドラ症候群にならないよう、無理なすり合わせはしない
・夫婦喧嘩を「認識のズレを正す機会」として活用する
以上のような点を、夫婦カウンセリングで見直していきます。すれ違いが起きた時の具体的な会話を覚えておいていただいて、ぜひ教えてください。どこですれ違いが起きたのかの検証をします。あとは検証結果を今後に活かすだけです。 |
この記事を書いた人 | |
共依存・夫婦問題カウンセラー大村祐輔 9年間で約800人、60分×約13,000回のカウンセリング実績から得た知識や経験を還元できるよう日々尽力しています。 大村の理念は「夫婦問題を解決して終わりじゃない」「離婚して終わりじゃない」「根本からの自己改革」です。 共依存で悩むあなたに「とことん付き合う」の精神で活動しています。 日本学術会議協力学術研究団体 メンタルケア学術学会認定 メンタルケア心理士 資格番号E1607030023 一般社団法人 ハッピーライフカウンセリング協会認定 離婚カウンセラー 会員番号200017 →詳しいプロフィールはこちら |