夫婦でカウンセリングを受ける7つのメリット
今回は、夫婦でカウンセリングを受けるメリットをお伝えすると共に、この記事を読むだけで、被害者の方と加害者の方の両者が希望をもってもらえたらと思い、書いてみました。
夫婦でカウンセリングを受ける、とは?
まず、この記事で私が言う、”夫婦でカウンセリングを受ける”ということの意味を確認しておきます。
私とご主人との1対1でのカウンセリング
私と奥様との1対1でのカウンセリング
というように、
ご夫婦のいずれもが私のカウンセリングを受けている状態
を指します。
ちなみに、夫婦カウンセリング(私とご夫婦の計3人でのカウンセリング)も時々挟むことがありますが、必須ではありません。
私が必要と感じた時や、クライアントさんが希望された時に行います。
とにかく、定期的にそして継続的に、ご夫婦のいずれもが私のカウンセリングを受けている状態、を指します。
今回は、以上を踏まえて、夫婦でカウンセリングを受ける意義について書いていきます。
この記事を読むにあたっての注意点
これまでにご相談いただいたご夫婦は、モラハラやDVや不倫等の加害者とその被害者の夫婦という構図であることが多く、そのような構図の夫婦を想定して、以下書いていきます。
「変わろうとする加害者とそれを見守る被害者」という構図です。
そのため、「加害者」と「被害者」という表現になっています。
もちろん、現実にはどちらが加害者でどちらが被害者というように明確に言えることはあまりないですが、ここではわかりやすくするためにそうしています。
モラハラやDVや不倫等が絡むケースにおいては、「加害者」や「被害者」といった表現で差し支えないかもしれませんが、そういったことが絡まないご夫婦の場合は、例えば「加害者」の部分を「コミュニケーションに課題のある側」等と読み替えていただければ幸いです。
繰り返しますが、夫婦の問題というのは、一方が加害者で他方が被害者というようにはっきりと分かれるものではありません。
ひとつのエピソードの中でも、ある場面では自分はどちらかというと加害者側で、でもこの場面では被害者側だなというように変わるものです。
どちらも加害者であり、どちらも被害者である、ということもあります。
どちらも加害者でも被害者でもない、ということもあります。
そもそも、夫婦でカウンセリングを行うということは、どちらが加害者でどちらが被害者かを明らかにして対立させるということを目的としていません。
このような前提を踏まえた上で、「加害者」と「被害者」という表現を使っているということを予めご了承ください。
いずれにしましても、自分たちだけで解決していこうとするには多くの問題が伴います。
それらの問題を、夫婦でカウンセリングを受けることによって解消できるのですが、それらがどういうこと(メリット)なのかを書いていきたいと思います。
夫婦でカウンセリングを受けるメリット
大きく7つにまとめてみました。
①被害者が加害者の状況を確認できる
私が間に入ることによって、被害者の方は加害者の方の状況を知ることができます。
加害者の方の「取り組み内容」「変化しつつある部分とそうでない部分」「今後の見通し」「今後の課題」「やる気」「振る舞い」等を客観的に把握できるようになります。
特に「今後の見通し」をある程度知っておけることは重要です。
そうでないと、加害者の方の変化を気長に悠長に待つことができないからです。
ちなみにですが、当然夫婦という関係とはいっても個人情報は守ります。
私が勝手に相手に情報を伝えることはなく、それぞれに確認しながら行っていきます。
私が間に入ることでお互いがお互いに懐疑的になってしまってはいけませんからね。
ただし、クライアントさんのほとんどの方は、基本的にはお互いにかなりオープンです。
「これは相手に言わないでください、と言わない限りはすべて相手に伝えて良いです」とおっしゃるご夫婦が多いです。
そうでないと夫婦でカウンセリングを受ける意味がないと理解してくださっているからです。
いずれにしましても、私が勝手に相手に伝えることはございませんのでご安心ください。
② 被害者が加害者の努力や変化を素直に認めることができる
多くの被害者の方が抱える気持ち(葛藤)の一つに、「加害者の努力や変化を素直に認めることができない」というものがありますが、①や以下③~⑦のおかげもあり、素直に認めることができるようになっていきます。
素直に認めることができないのは、単なる意固地ということではなく、以下のような理由に基づく自然な心理的反応です。
1.過去の蓄積
被害者の方にとって、加害者の方から受けてきたひどい言動や行動は、一度だけではなく何度も繰り返されてきたことが多いです。
中には30年や40年といった歴史の長い方もいますが、長ければ長い程簡単には努力や変化を受け入れられないものです。
2.「本当に変わるのか」という不信感
加害者の方の反省や努力、言動や行動の変化が一時的なものである可能性を懸念する被害者の方も多いです。
特に「言葉だけで行動が伴わない」ということがこれまでに何度も繰り返されて来た場合、不信感をもつのは当然のことです。
3.再び傷つく恐怖
過去の傷が癒えていない被害者にとって、もう一度信じることは「再び裏切られるリスク」を伴います。
このため、無意識に防衛本能が働き、加害者の努力や変化を認めることにブレーキがかかるのは当然のことです。
4.「自分の声は届かなかった」という無力感と苛立ち
過去に何度も繰り返し訴えてきたことと同じようなことをカウンセラーに言われた瞬間に、努力を始めて変化し始めたら、被害者の方が無力感をもつのは当然です。
自分の努力を否定されたと感じてしまうのも無理はないです。
自分の声は無視され、他人であるカウンセラーの声は素直に聞くのか、という理不尽さに苛立つのは当然のことです。
第三者、特に加害者の方が権威があると思うような相手から言われた場合に、その人の言葉ならすんなり受け入れるということはよくある話です。
被害者の方が、このあたりを割り切って考えることができるかは重要なポイントです。
以上のような理由から、仮に加害者の方に変化が見られても、「ちょっとカウンセリングを受けたくらいで変われた気になるなよ」というような思いが被害者の方の中に生まれても仕方ないです。
このような思いを私と被害者の方との1対1でのカウンセリングの中で共有することで、少しずつ素直に努力や変化を認めようという気になっていきます。
また、被害者の方が加害者の方の変化を認めていけるようになる過程で、「被害者はこのような思いをもつものなのだ」ということを加害者の方に伝えることによって、変化を認めてもらえないことによる加害者の方の努力や変化へのモチベーションの低下も防ぐことができます。
加害者の方の中には、自分の立場をわかっていない方もいて、「努力や変化を認めてくれよ」と被害者の方にストレートに言ってしまうことがあります。
過去の経緯を考えれば、そんなことを言える立場ではないことはわかりそうなものですが、わからない方が一定数います。
「努力や変化を認めてくれよ」というようなことを被害者の方に直接言うことを防ぐためにも、加害者の方との1対1のカウンセリングの場では、最低限私が認めていきます。
どちらの思いも守ることができるのも、夫婦でカウンセリングを受けるメリットかと思います。
③加害者の努力を持続可能にする
第三者であるカウンセラーの私と被害者の方2人の管理下・監視下にあるため、加害者の方が変わるための努力を継続しやすくなります。
特に、何か積極的に管理とか監視と言える程のことをするわけではありませんので加害者の方には安心していただきたいのですが、夫婦でカウンセリングを受けるということは、結果的に管理や監視の意味合いを必然的にもってしまいますよね。
本来は、誰の目もない状況でも努力を続けていただきたいですが、それが難しかったからカウンセリングを受けようと思われた面もあるわけで、仕方ないですよね。
これまで多くの加害者の方がやってきたような「一時的な取り繕い」のようなことはできなくなりますので、被害者の方は安心かと思います。
④話の客観性が増す
夫婦のいずれからもお話を聞かせていただくことで、話(夫婦の歴史・経緯)の客観性が増します。
加害者の方は、意図して、あるいは意図せずに、自分に都合の良いように事実を捻じ曲げて私に話すことがあります。
意図せず記憶が書き換わってしまう方もいます。
事の経緯を理解できていない結果、事の一部しか話さない(あるいは話せない)、という方もいます。
意図的かそうでないかにかかわらず、結果的に話が客観性に乏しいものになりやすいです。
そのため、被害者の方からお話しを聞かせていただくことで客観性が増します。
また、被害者の方は私と関わることで、いつでも話の修正・訂正ができるということは安心感につながるかと思います。
もちろん、被害者の方が客観性があるとは限りませんので、当然できる限りフラットに話を聞かせていただきます。
私にご相談いただく被害者の方は、「自分が加害者の面もあるのではないか」という考える方も多く、お二人からお話を聞くことで、そういう面を見つけることができることもあり、同時にそれらも改善していくことができます。
⑤被害者のメンタルの安定と成長
加害者のことを知ってもらえている人(加害者と実際に定期的に話している人)と話すことができるというだけでメンタルは安定するものです。
なんとなく想像できるかと思います。
また、カウンセリングでの会話の中で、被害者の方が加害者の方から受けたダメージ(後遺症等)について少しずつ私が理解・認識していきます。
そのダメージを一緒に改善していきます。
特に加害者の方の影響による、共依存体質(モラハラ等の被害者体質)、そして認知のゆがみや被害者意識については改善する必要があります。
単純にあらゆる人間関係に影響が出てしまいますからね。
また、加害者が取り組んでいる内容を知ることで、「自分が悪いわけではなかったんだ」とか「自分の考えは間違っていなかったんだ」という気持ちにもなれます。
一緒に成長していこうという思いも強まります。
さらに、加害者の方が取り組む内容は、被害者の方にも役立つことは多いですので、さらに成長できるかと思います。
夫婦間では被害者でも、親子間では加害者になってしまっている方もまれにいますので、お子さんたちへの対応の勉強にもなると思います。
⑥被害者の加害者への対応や方針を考えることができる
加害者の方の進捗具合によって、「今後こういう対応が良いのでは?」というように、被害者の方と私とで、今後について一緒に考えることができます。
加害者の方の努力だけでなく、その努力をさらに実らせるためには、被害者の方の協力も必要となります。
「なんで被害者の私が協力しないといけないの?」と思うかもしれませんが、そこは私が、できるだけすすんでやっていこうと思えるような、できるだけ楽しめるような対応や方針を出していけたらと思っています。
もちろん無理に押し付けるつもりはありません。
⑦カウンセリング外での日常生活において、良い意味で深刻さが薄れる
もちろんご夫婦の関係性や状況にもよりますが、深刻にならないで済むという良さがあります。
真剣にはなっても深刻にはならないという言葉がありますが、そのような状態でいられます。
深刻になっても基本良いことはないですからね。
カウンセリングを受けることで、ご夫婦2人の世界に悪い意味で入り込んでいたところから、一歩引いて自分たちのことを見ることができるようになります。
もちろん最初の段階では難しいですが、回数を重ねていくことによって、加害者の方の「やらかし」を少しずつ笑えるようになることがあります(もちろんモラハラやDVや不倫等のようなことではなく、日常生活のほんのささいなことについてですよ)。
「ああまたやらかしたねー、大村さんにこの件について話してみようねー」
「ほら、大村さんに良い報告ができるようにがんばりなさいよー」
というような軽やかさが出てきたらしめたものです。
また、何かあった時に、加害者の方被害者の方共に、「大村さんだったらこういう時どう考えるだろう」と徐々に自然に考えるようになっていきますが、このように考えること自体が大事で、ワンクッションというか一呼吸おけることにつながり、反射的に感情的になることが抑えられます。
家庭内にピリピリした緊張が走らない、ということはとても重要です。
単純に、私がご夫婦共通の知人にもなるわけですし、私という共通の話題もできます。
参考にしていただくために、他のクライアントさんたちの成功談や失敗談(もちろん個人を特定できないかたちでお話いたします)の他、私も自分自身のこと、妻とのことや子供のこと、元妻とのこと、元彼女とのこと、上手くいったこと、失敗したこと等を時々話の中でいたします。
それらを話題にして「うちでも同じようなことを取り入れようか」「うちでも気を付けようね」というようなきっかけにしてもらえればと思います。
特に私のことはネタにしてどんどん笑っていただければと思います。
<補足>夫婦カウンセリング(3人で行うカウンセリング)を神聖視しないこと
夫婦カウンセリング(3人で行うカウンセリング)を行うことが必ずしも良いとは限りません。
闇雲に行うことで関係性が悪化することもあります。
慎重に、そして状況に応じて行う必要があります。
弁が立つ側が優位になる
本心を言いにくい
などのデメリットがメリットを上回ることがあるからです。
そのため、最低でも最初の2、3回は私とご夫婦それぞれの1対1のカウンセリングを行います。
相手のことを気にすることなく本心を話すということがかなり重要ですからね。
お二人の本心を聞いた上で行う方が単純に私としてもやりやすいですし、成功に向かいやすいです。
最初から最後まで1対1のカウンセリングのみで解決することも多いです。
メニュー(プラン)について
皆さんどのようなプランで行っているのか気になるかと思います。
共にカウンセリングを受けようという夫婦の約7割の方がご主人と奥様共に※『共依存克服プログラム』の無期限コースを選ばれています。
残りの3割は、ご主人か奥様のどちらか一方が無期限コースでどちらか一方が基本料金(単発)で、というかたちです。
もちろん両者共に基本料金(単発)で行うというかたちも可能ですが、今までにそのケースで継続した方はいらっしゃいません。
1対1でのカウンセリング(私とご主人か奥様)と夫婦カウンセリング(3人で行うカウンセリング)を状況によって織り交ぜながら行うことが多いですが、今現在、ご主人と奥様の両者が無期限コースの場合は、夫婦カウンセリングの料金はいただいておりません。
ご主人か奥様の片方だけが無期限コースの場合は、夫婦カウンセリングの料金は半額としています。
できるだけ料金がかからないようにという気持ちです。
(このような料金体系は予告なく変更することがありますので予めご了承ください)
※『共依存克服プログラム』という名前にはなっていますが、ご相談内容に制限はございません。
ご夫婦が共依存関係でないからといって、受けられないというわけではございません。
無期限コースについては、一度お支払いいただければ何度でもご相談できるコースで、多くの方に、「契約いただいた瞬間に安心感が得られた」とおっしゃっていただいています。
経済的な面についても、「いくらお金がかかるかわからない」という不安が払拭されますからね。
回数が決まっていると、「あと何回で終わりだ。〇回目には克服していなくちゃ」というように、焦ってしまい良いことがありません。
自己変革というのはそういうものではないですからね。
何度でも相談ができるという安心感によって、十分な話つくしができ、じっくり問題に向き合うことができ、結果的に思っていたよりも早く解決できる、という「急がば回れ」的な面があると、クライアントさんたちを見ていて思います。
どんな結論(離婚か再構築か)になるにせよ、やりきったという納得感を感じていただきたいと思っています。
・『共依存克服プログラム』無期限コースの料金について
・『共依存克服プログラム』が選ばれる理由-複数回面談の重要性-
最後に
夫婦でカウンセリングを受けるということは、”加害者の方の変わりたいという気持ち”と“変化を信じたいという被害者の気持ち”を繋ぐ架け橋の意味合いがあると思います。
私とご主人と奥様との3人での共同作業ですね。
ぜひお気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人 | |
共依存・夫婦問題カウンセラー大村祐輔 9年間で約800人、60分×約13,000回のカウンセリング実績から得た知識や経験を還元できるよう日々尽力しています。 大村の理念は「夫婦問題を解決して終わりじゃない」「離婚して終わりじゃない」「根本からの自己改革」です。 共依存で悩むあなたに「とことん付き合う」の精神で活動しています。 日本学術会議協力学術研究団体 メンタルケア学術学会認定 メンタルケア心理士 資格番号E1607030023 一般社団法人 ハッピーライフカウンセリング協会認定 離婚カウンセラー 会員番号200017 →詳しいプロフィールはこちら |