認知のゆがみについて
認知のゆがみとその影響
認知のゆがみとは、現実を解釈する際に生じる、物事の捉え方や思考の偏りや誤りのこと、を指します。
同じような出来事や体験があったとしても、人によって捉え方は違います。
これまでの経験によって作られた、一人一人異なる色眼鏡を通して見ているからです。
すべての人がまったく同じように捉えるというようなことはあり得ません。
その中でも特に、極端にマイナスやネガティブに捉えることを認知のゆがみと言います。
認知のゆがみが生まれる原因は様々ですが、中でもやはり親の影響は絶大です。
一番影響を受けやすい幼少期に一番近くにいる存在であるため、無意識で親の認知のゆがみを受け継いでしまいます。
認知のゆがみの連鎖です。
親以外にも、身近な人(先生や友人等)からの何気ない一言や、たった一つの出来事でゆがみが生まれることもあります。
元々もっている性格や気質も無関係ではないでしょう。
この認知のゆがみは、
生きづらくなったり、
共依存関係に陥ってしまったり、
人間関係でトラブルを起こしてしまったり、
様々な悪影響を及ぼします。
認知のゆがみのパターンによっては、
モラハラ気質のある人にターゲットにされたり、
自分が無自覚にモラハラの加害をしてしまったり
敵と味方を間違えてしまったり、
ということもあります。
それほど認知のゆがみは影響力のあるものだと思ってください。
認知がゆがむような出来事は、いつ起きてもおかしくありません。
また、自覚が難しいものでもあり、誰かが指摘してくれることもなかなかありません。
そのため、誰もがもっておく必要がある知識だと思います。
この認知のゆがみには、大きく10パターンあると言われていますが、それぞれ解説していきます。
認知のゆがみ10パターン
白黒思考(全か無か思考)
物事を極端に捉えてしまう思考です。
二極思考とも言います。
完璧主義思考を生む思考でもあります。
この世の中に起こるあらゆる事象は、白か黒かではっきりできることはほとんどありません。
何事にもグレーの意識を持ち、さらにはそのグレーを受け入れられるようにしていきましょう。
一般化のしすぎ(過度の一般化)
たった一つの良くない出来事が、その先の長期間にわたって繰り返されると思い込む思考です。
具体例: パートナーに一度デートをキャンセルされただけで、「私のことなんてどうでもいいんだ、いつも私は誰からも大切にされない」と感じる。
心のフィルター
たった一つの良くないことにこだわって、そればかり考え、現実を見る目が暗くなる思考です。
具体例: 良い時間を過ごしたはずのデートでも、最後に少し無口になったパートナーを見て「やっぱり私とは一緒にいたくないんだ」と感じてしまう。
マイナス化思考
すべてを悪い出来事、悪い評価にすり替える思考です。
具体例: 「褒められたけど、本当はお世辞だろう」「優しくされるのは、何か裏があるに違いない」と感じてしまう。
結論の飛躍
根拠もないのに悲観的な結論を導き出してしまう思考です。
心の読みすぎ: 友人からの返信が遅いと、「嫌われたんだ」と思い込む。
先読みの誤り: ちょっとした口論で「この関係はもう終わりだ」と感じる。
拡大解釈と過小評価
自分の失敗を過大に考え、長所を過小評価する思考です。
具体例: 小さなミスをして「自分は何をやってもダメだ」と思う一方で、成功したことは「たまたまだ」と感じてしまう。
感情的決めつけ
理性でなく、その時の感情で判断してしまう思考です。
具体例: 「こんなに不安なんだから、彼は浮気しているに違いない」と感情だけで判断する。
すべき思考
自分や他人の行動に「~すべき」というルールを課す思考です。
具体例: 「恋人なら毎日連絡をくれるべきだ」「家族なんだから私の気持ちを理解すべきだ」といった過度な期待を抱く。
レッテル貼り(極端な形の「一般化のしすぎ」)
人の性質や一部分だけを見て、「〇〇だ」と決めつける思考です。
相手に貼るだけでなく、自分にも貼る場合があります。
どうせ貼るならネガティブなレッテルではなく、ポジティブなレッテルを貼りたいものですね。
具体例:ミスをした時に、どうミスをしたか考えずに「自分はダメ人間」としてしまう
具体例::「彼に嫌われた…私は誰からも愛されない人間なんだ」と一つの出来事から自己否定してしまう。
個人化
何か良くないことが起こった時、自分に責任がないような場合にも自分のせいにしてしまう思考です。
具体例: パートナーの機嫌が悪いと「私が何か悪いことをしたせいだ」と感じる。
認知のゆがみ改善のための3つのステップ
カウンセリングの中で、自分の認知のゆがみを認識し、正しい物事の捉え方を学んでいくことが重要です。
ステップ1: 自覚する
まずは何と言っても自覚することです。
は過去のエピソードを覚えている限り集めましょう。
そしてカウンセリングでできるだけ詳細に具体的に話してください。
多くのエピソードを分析していくと、自分がどの認知のゆがみのパターンに陥りやすいかがわかってきます。
人によってある程度偏りがあるものです。
自覚は本当に大事で、何かあった時に、ポッと出てきた思考(捉え方)に飛びついてしまうことを防ぐことができます。
無意識でポッと出た思考(捉え方)によって自動で出てしまった言動や行動が、例えば人間関係等を崩壊させます。
仮に歪んだ思考(捉え方)が頭に浮かんでしまっても、最低限それを言動や行動にうつさなければ、人間関係にマイナスは及ぼしません。
まずは自覚すること。
そして、自覚によって立ち止まること(ワンクッションおくこと)は最初のステップとしてとても大事です。
ステップ2: 思考を修正する
自分の認知のゆがみのパターンを自覚した後は、それを常に頭の片隅に入れて生活しましょう。
最初はどうしても、これまでの思考の癖による思考が自動で出てきてしまいますが、その思考について「本当にそうだろうか?」と自分に問いかける習慣をつけましょう。
さらに、事実と解釈を分けて考える、という意識も持ちましょう。
ステップ3: 実践し、応用し、復習する
あとは実践するのみです。
まったく同じ出来事というのは絶対に訪れませんが、似たような出来事が起きた時に応用できるように復習しておきましょう。
以下にも記載していますが、その都度私に確認してください。
お伝えいただくことで、一つ一つのエピソードから得られるもの(経験値)が何倍にもなり、応用がきくようになっていきます。
自分一人で行うのは危険なことも
カウンセリングを受けることで、より効果的に前向きな考え方を取り入れることができます。
自分の頭の中だけ、という小さな枠組み、少ない視点、偏った経験の中で考えると、他の捉え方が浮かびません。
同じところをぐるぐる回るだけで広がりが生まれません。
どうしてもネガティブな捉え方しか浮かばず、バリエーションにも限界がきます。
エピソードを語っていただき、他にどんな捉え方ができるのかの具体例をたくさんお伝えいたします。
まずは「そんな捉え方があるのか」というようにある程度吸収していただく必要があります。
そこからで大丈夫です。
その繰り返しによって、応用がきくようになります。
自分一人では、これまでの思考の癖により出てきたネガティブな思考にとらわれてしまい、飲み込まれてしまうことがあります。
最悪、認知のゆがみを悪化させてしまうこともありますので、できればカウンセリングを受けていただいて一緒に取り組んでいきましょう。
カウンセリングの中で、
いかに自分は過去の習慣で物事を捉えているのか、
自分はどのパターンに陥りやすいのか、
ということを確認し、自覚し、修正していただければと思います。
一緒に考えていきますのでご安心ください。
この記事を書いた人 | |
共依存・夫婦問題カウンセラー大村祐輔 9年間で約800人、60分×約13,000回のカウンセリング実績から得た知識や経験を還元できるよう日々尽力しています。 大村の理念は「夫婦問題を解決して終わりじゃない」「離婚して終わりじゃない」「根本からの自己改革」です。 共依存で悩むあなたに「とことん付き合う」の精神で活動しています。 日本学術会議協力学術研究団体 メンタルケア学術学会認定 メンタルケア心理士 資格番号E1607030023 一般社団法人 ハッピーライフカウンセリング協会認定 離婚カウンセラー 会員番号200017 →詳しいプロフィールはこちら |