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家族の中で背負わされた”無意識の役割”-アダルトチルドレンが抱える機能不全家族の呪縛

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機能不全家族とは

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機能不全家族とは、家族が本来持っているはずの、お互いを支え合い、成長を助け合う機能が上手く働いていない家族のことです。
機能不全の家庭では、健全な家庭では当たり前に存在する心の安全基地を築くことができません。

自己肯定感を育てることができず、人間関係で問題を抱えたり、感情のコントロールが難しくなったり、認知のゆがみを生じさせてしまったり、共依存やアダルトチルドレンの特徴を作り出す家族のことです。
今でこそ、SNS等で他の家族の様子を見る機会が増え、自分の家族との違いを認識できるようになってきましたが、一昔前までは、基本的には誰もが育った家庭を「普通」と思ってしまっていました。

このように、いくら他の家族を知る機会が増えたとはいえ、機能不全家族という概念を知らない多くの人にとっては、「(他の家族について)見えていても見ていない」といったところでしょうし、まだまだ自分の家族を機能不全家族だと自覚できない環境ではあると思います。
ぜひ知識としてもっておいて欲しいと思います。

よくある誤解について

機能不全家族について理解を深める際に、多くの方が抱きがちな誤解があります。
「うちの親は一生懸命頑張っていたから、機能不全家族なんて言うのは親不孝だ」と感じる方がいらっしゃいます。

しかし、親が頑張っていたかどうかと、家族が機能不全だったかどうかは別の問題です。
親自身も機能不全家族で育ち、健全な子育ての方法を知らなかった可能性があります。

あなたが機能不全家族の影響を受けたことを認識することは、親を責めることではなく、自分自身を理解し回復するために必要なプロセスなのです。
また、「経済的に困窮していなかったし、教育にもお金をかけてもらったから、うちは普通の家庭だった」と考える方もいます。

しかし、機能不全家族は経済状況とは関係ありません。
外見上は恵まれた家庭であっても、感情的な安全基地がなく、子どもの心が適切に育まれない環境は機能不全家族と言えます。

さらに、兄弟姉妹がいる場合、「兄弟は普通に育っているのに、自分だけがこんな問題を抱えているのはおかしい」と感じることがあります。
しかし、同じ家族の中でも、生まれた順番、性別、親との相性、その時々の家族の状況によって、それぞれが受ける影響は大きく異なります。
あなたの体験や感じ方は、他の兄弟姉妹と違っていても当然のことなのです。

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アダルトチルドレンが機能不全家族内で演じた役割

機能不全家族では、何とか家族の崩壊を免れようと、次のような役割を無意識に演じてしまうことがあります。
演じ続けてしまうことによって、それが当たり前となり、演じていたことすら忘れてしまいます。
さらに、役割を演じることによって自分を見失ってしまいます。

まずは自分がどんな役割を演じていたのかを知り、自覚していくことが大切です。
中には複数の役割を演じていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「家族英雄」(ファミリー・ヒーロー)

勉強やスポーツなどで好成績を上げることによって世間からの家族の評価を上げようとする役割。
いわゆる優等生タイプ。
自分の頑張りによって、両親の関係が良くなるのでより一層がんばってしまう。
エリートに多く親の虚栄心のために動く。
常に完璧でありたいと願い、他人からの評価を過度に気にする傾向があります。
職場では責任感が強く頼りにされる一方で、失敗を恐れるあまり新しい挑戦を避けたり、燃え尽き症候群に陥りやすくなります。
恋愛関係では、相手に認められるために自分を偽ったり、相手の期待に応えることに疲れ果てることがあります。

「犠牲者」(スケープゴート)

問題を起こして自分が問題者となり、家族の問題を子どもの問題へと転換させる役割。
ヒーローとは真逆。
一家の中のダメを全部背負うような子ども。
この子さえいなければすべて丸く収まるのではないかという幻想を他の家族に抱かせることによって、家族の真の崩壊を防いでいるような存在。
自己肯定感が低く、「自分が悪い」と考えがちです。
人間関係でも問題が起きると自分を責め、適切な境界線を引くことが困難です。
一方で、同じような立場の人に深く共感し、支援することに長けている場合もあります。

「いなくなった人」(ロスト・ワン)

目立たないようにして存在しないことによって家族の安定に貢献する役割。
ヒーローやスケープゴートのように目立たないで、「失われた子ども」(ロスト・チャイルド)という存在の仕方をする。
こうしたかたちで家族内の人間関係を離れ、自分の心が傷つくことを免れようとしている。
他人との深いつながりを築くことに困難を感じることがあります。
自分の存在価値を感じにくく、グループの中でも目立たないように振る舞います。
しかし、一人の時間を有効活用し、独立性を持って生きる力を身につけていることも多いです。

「道化者」(クラウン、マスコット、ピエロ )

家族の中で常に陽気に振る舞い、葛藤を減少させる役割。
家族の中に緊張が走るようなとき、突然とんちんかんな質問をしたり、唄い出したり踊り出したりし始める。
自分でもそれを楽しんでいるように感じるが、実は寂しい。
その場に合った感情を出すので、自分の本当の感情がわからなくなる。
常に明るく振る舞い、場の雰囲気を和ませることが得意です。
しかし、自分の本当の感情を表現することが苦手で、深刻な話題を避けたり、悩みを一人で抱え込む傾向があります。

「なだめ役」(プラケイター、慰め役)

家族内での仲介役、調整役。
他の家族のカウンセリングをする(親であったり年上のきょうだいのこともある)。
他の家族の情緒的なニーズに応えることに専念し、自分の痛みから目をそらす。
他人の気持ちを敏感に察知し、調整役として重宝されます。
しかし、自分の感情やニーズを後回しにし、他人のために自己犠牲を続けてしまうことがあります。
「NO」と言うことが苦手で、疲弊しやすい傾向があります。

「支え役」(イネイブラー)

子供でありながら親に変わって世話をする役割。
親に変わって「父親の妻代わり」「母親の夫代わり」「きょうだいの親代わり」をする。
世話が行き過ぎると相手の問題点を悪化させてしまうこともある。
まさに共依存を体現している役割である。
早くから大人の責任を負わされたため、責任感が強く頼りがいがあります。
しかし、他人に頼ることが苦手で、すべてを一人で背負おうとする傾向があります。
また、相手の問題を解決しようとするあまり、共依存的な関係を築きやすくなります。

機能不全家族チェックリスト

では、共依存やアダルトチルドレンの特徴を生み出してしまう家族とはどのような家族なのか、機能不全家族チェックリストを使って特徴を見ていきましょう。
複数当てはまる方は要注意です。

※ チェックリストは目安です
数だけで決めつけず、困りごとが続いているかも合わせて見てください。必要なら、大村と一緒に状況を整理することもできます。
機能不全家族・
チェックリスト
躾の名目で理不尽な言動・行動があった
親がいると緊張して安心することがなかった
親の言動に一貫性がなかった
親の言動と表情が一致していなかった
身体的、精神的、性的な暴力があった
「我慢しなさい」という言葉で支配された
親の意見に反対することが許されなかった
「縁を切る」などと脅された
泣いて罪悪感を感じさせられたり、逃げられた
親に意見が言えるような雰囲気ではなかった
喜怒哀楽を表現することが許されなかった
批判ばかりで一緒にテレビを楽しめなかった
条件付きの愛情で、無条件の愛がなかった
世間体を気にしすぎる親だった
親に異常な偏見があった
一般的な常識ではなく、親の常識で支配された
人の悪いところに注目する傾向があった
親が全て正しいと思い、何の疑問もなかった
親からの決めつけが多く、誘導されていた
悩み事を親に相談しようとは思えない環境だった
子ども部屋を持つことを許されなかった
子ども部屋のドアを閉めることが許されなかった
欲しいものを素直に欲しいと言えなかった
他の兄弟姉妹や身近な子どもと比較された
他の子の方がかわいい等の発言を聞かされた
親自身が機能不全家族で育てられた

これらはほとんどの場合において、子どもの頃は意識されません。
子どもにとっては、このような家庭が一般的な家庭だと思い込んでいるからです。
何かのきっかけがないとわかり得ません。

機能不全家族による影響

プライバシーが守られない(境界線がない)

基本的に、機能不全家族では「個」が認められません。
プライバシーが認められないため、親が勝手に子どもの部屋に入り込んで詮索することもあります。
そうすることに疑いを持ちません。
こんな家ではとても安全基地にはなり得ません。

子供の人格よりも世間体が大事

子どもがDVやモラハラを受けて離婚したくても、「離婚=恥」という考えのために「耐えなさい」「戻って来るな」という親もいます。
このような親にとって、子どもの人格は世間体よりも価値が低いものなのです。

親から子への一方的なコミュニケーション

コミュニケーションにおいても、親から子への一方向的なものとなります。
親は子どもを所有物と見なしていますが、それを自覚している親はほとんどいません。
「親は絶対に正しい」「子どもは親に従うもの」という図式で成り立っています。

暴力(DV)の世代間継承

暴力(DV)を受けて育った方は、暴力(DV)はどこの家庭にも普通に行われているものだ、と思い込んでいる方も多いです。
そのため、結婚や恋愛でパートナーをもった時に、加害者として暴力で解決しようとしたり、被害者として必要以上に暴力を許容してしまったりします。
加害者か被害者かのどちらか極に振れてしまい、機能不全家族の連鎖につながります

愛情と暴力の混同

暴力(DV)こそが愛情だと勘違いしてしまう方もいらっしゃいます。
その結果、穏やかで安定した人に対して「愛情がない」「つまらない」と判断してしまうこともあります。
愛すべき人を間違えてしまうことにつながります。
また、子どもに対しても、躾(しつけ)には暴力も必要だと思い込むことにもなり、虐待との区別がつかなくなります。

回復への第一歩

このような家庭が不健全だと知ることのできたあなたは、共依存やアダルトチルドレンの特徴を備えてしまっていることはあなたの責任ではないということがおわかりいただけたでしょうか。
少しでも自分を責めずに、罪悪感を抱かずにいて欲しいと思います。

よくある質問(FAQ)

Q1. 自分の家族が機能不全家族かどうか、どう判断すれば良いですか?

A.はい、複数の特徴が当てはまるなら機能不全家族の可能性があります。機能不全は「親の努力」や「経済状況」と関係がなく、家庭に心の安全基地があるかどうかが基準になります。たとえば、親の顔色ばかりうかがっていた、意見を言うと怒られたり泣かれたりした、部屋に勝手に入られるのが当たり前だった…こうした感覚が続いていたなら、無理に“普通の家庭”と思い込む必要はありません。迷って当然です。「あれ?」という違和感がある時点で、もう十分根拠があります。

Q2. 親が一生懸命だったのに、機能不全家族と言って良いのでしょうか?

A.はい、言って良いです。親の頑張りと、家庭が健全だったかどうかは別の問題です。「恩知らずなのでは?」と迷う方が多いですが、事実を理解することは親を責める行為ではありません。あなた自身を理解し直すプロセスです。その感覚を持てている時点で、もう回復の入口に立てています。

Q3. きょうだいは普通に見えるのに、自分だけ生きづらいのはおかしいですか?

A.いいえ、おかしくありません。きょうだいは同じ家で育っても、親から担わされる「役割」が違うため、受ける影響はまったく異なります。たとえば、長子はヒーロー、次子はスケープゴート、他の子はロストワン…と無意識に“配置”されることがあります。「自分だけおかしいのでは?」と思うのは機能不全家庭あるあるです。比べなくて大丈夫です。あなたの感覚は正しいです。

Q4. 親から『離婚は恥』『戻るな』と言われます。これも機能不全ですか?

A.はい、典型的です。世間体を家族の幸せより優先する親は、機能不全家庭でよく見られます。DVやモラハラで限界でも「我慢しなさい」と言われるのは、あなたの人生より“外からどう見えるか”を大事にしているからです。これを真に受けて苦しむ必要はありません。

Q5. 機能不全家族で育つと、恋愛や結婚に影響しますか?

A.はい、強く影響します。幼少期に「怒りと愛」「支配と愛」が混同されると、安定した相手が退屈に見え、刺激の強い不安定な相手に惹かれやすくなります。暴力がある家族であれば、「暴力が普通」と誤学習してしまいます。こうして幼少期の“当たり前”は、大人の恋愛にも持ち越されてしまうのです。

免責事項(必ずお読みください)

本記事は、特定の診断や疾患の確定を目的としたものではありません。相談現場で多く見られる「関係性の傾向」や「心理的な構造」を、一般的な情報として整理しています。内容はすべての人や関係に当てはまるものではありません。心身の不調が強い場合や日常生活に支障がある場合は、医療機関・専門機関への相談もご検討ください。また、身の危険を感じる場合は、すぐに警察や配偶者暴力相談支援センターにご連絡ください。なお、本記事の情報を参考に行動される際は、ご自身の判断と責任でお願いいたします。私は共依存・夫婦関係の整理を専門とするカウンセラーとしての相談経験をもとに執筆していますが、効果や結果を保証するものではありません。

参考文献

『子どもを生きれば おとなになれる<インナーアダルト>の育て方』クラウディア・ブラック 著水澤都加佐 監訳 2003 アスク・ヒューマン・ケア
『アダルトチルドレンと共依存』著緒方明 1996 誠信書房
『アダルトチルドレンと家族 心の中の子どもを癒す』著斎藤学 1996 学陽書房

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