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【モラハラ】たまに優しくされると離れられなくなる理由と、その罠から抜け出す方法

モラハラから離れられない心理をイメージした不安な男女のイラスト

【この記事の結論】

モラハラから離れられないのは、あなたの意志が弱いからではなく、「間欠強化」という心理的な罠にハマっているからです。
たまに見せる優しさが、9割の苦しみを帳消しにし、「次こそは変わってくれるかも」という期待を生み出します。
この記事では、その仕組みと抜け出し方を、カウンセラーの実例とともに解説します。

この記事でわかること:

  • なぜ「たまに優しくされる」と離れられなくなるのか(間欠強化の心理メカニズム)
  • あなたが間欠強化にハマっているかを確認するチェックリスト
  • カウンセラーが9年間で800人以上を支援して気づいた危険なサイン
  • 間欠強化の罠から抜け出すための具体的な3ステップ

「普段はひどいことを言われるのに、たまにすごく優しくなる時がある」
「その優しさに触れると、『本当は良い人なのかも』と期待してしまい、別れる決心が鈍ってしまう」

もしあなたがこのように感じているなら、それはあなたの意志が弱いからではありません。
モラハラ加害者が無意識(あるいは意識的)に使う、「間欠強化(かんけつきょうか)」という強力な心理的罠にハマっている可能性が非常に高いです。

この記事では、なぜあなたが関係から抜け出せないのか、その原因である「間欠強化」の恐ろしい仕組みと、その罠から抜け出すための具体的な方法を、専門的な観点から分かりやすく解説します。

この記事は、以下の記事の一部を、より深く掘り下げて解説するものです。
モラハラの全体像について知りたい方は、まずこちらの記事からお読みください↓

「たまに優しい」が一番危険。あなたがモラハラから離れられない本当の理由

モラハラから離れられない心理をイメージした不安な男女のイラスト

パチンコやギャンブルにハマるのと同じように、「次こそは当たり(優しさ)が来るかもしれない」という不確実な期待が、人を最も強く惹きつけます。
モラハラ関係における「たまの優しさ」は、まさにこの心理を利用した強力な罠なのです。
この章では、その心理メカニズム「間欠強化」について、誰にでも分かるように解説します。

「次こそは」と期待させる罠
(間欠強化の実験)

なぜ、ひどい仕打ちを受けても離れられないのか?

【学習】
レバーを押す ➜ 🍱 必ずエサが出る

ネズミは「レバーを押せばエサが貰える」と正しく学習します。

結果:エサのためにレバーを押す
【消去】
レバーを押す ➜ 🚫 全く出ない

エサが出なくなると、すぐに「もう出ない」と判断して押すのをやめます。

結果:すぐに諦める
【間欠強化】一番危険な罠
レバーを押す ➜ 🍱?🚫? 出たり出なかったり

ランダムにエサが出る状態を経験すると、その後全く出なくなっても「次こそは出るかも」と期待し、必死に押し続けてしまいます。

結果:ボロボロになっても押し続ける

スキナーのネズミ実験:間欠強化の証明

  1. 【学習】箱の中のネズミがレバーを押すと、必ずエサが出てくるようにします。ネズミは「レバーを押せばエサが貰える」と学習します。
  2. 【消去】次に、レバーを押しても全くエサが出ないようにします。ネズミはすぐに「もうエサは出ない」と学習し、レバーを押すのをやめます。
  3. 【間欠強化】しかし、「レバーを押すと、エサが出たり、出なかったりする」というランダムな状態を経験させた後だと、話は変わります。その後に全くエサが出ない状態にしても、ネズミは「次こそは出るかもしれない」と期待し、必死にレバーを押し続けてしまうのです。

モラハラ関係に置き換えると、普段のひどい仕打ちが「エサが出ない状態」で、たまに見せる優しさや謝罪が「たまに出るエサ」です。
この「たまに出るエサ」があるために、被害者は「次こそは、ずっと優しい彼(彼女)に戻ってくれるかもしれない」という期待を捨てられず、関係から抜け出せなくなってしまうのです。

【実際の相談事例】「でも、優しい時もあるんです」と語るAさんのケース

ある日、30代の女性Aさんが相談に来られました。
夫からの日常的な暴言に悩んでいるとのことでしたが、話を聞いていると、こう繰り返すのです。

「でも、私が風邪をひいた時は看病してくれたんです」
「たまに、すごく優しい言葉をかけてくれる時もあって…」
「だから、本当は優しい人なんだと思うんです」

私はAさんに、過去1ヶ月間を振り返ってもらいました。

  • 優しかった日:3日
  • 普通の日:5日
  • 暴言や無視があった日:22日

客観的に見れば、圧倒的に辛い日の方が多いのです。
しかし、Aさんの記憶には「優しかった3日間」ばかりが強く残っていました。

これが、間欠強化の恐ろしさです。 たった1割の優しさが、9割の苦しみを帳消しにしてしまうのです。
そして、「次もまた優しくしてくれるかもしれない」という期待が、Aさんをその場に縛り付けていました。

Aさんのようなケースは、決して珍しくありません。
むしろ、モラハラ関係で悩む方の大半が、この「たまにある優しさ」に翻弄されています。

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もしかして私も?「間欠強化」の罠にハマっているか診断するチェックリスト

「自分の状況は、本当に間欠強化なのだろうか?」と疑問に思うかもしれません。
以下のチェックリストを使って、ご自身の状況を客観的に振り返ってみましょう。
3つ以上当てはまる場合、あなたはその罠にハマっている可能性が非常に高いです。

「離れたいのに離れられない」
執着の罠チェックリスト

たまにある優しさに依存していませんか?

たまにある優しさを「あの人は本当は良い人だ」という証拠として記憶している
相手の機嫌が良いと、「自分の努力が報われた」と感じてホッとしてしまう
友人や家族に相談した際、「でも、優しい時もあるんだ」と相手をかばってしまう
普段の辛い記憶よりも、数少ない楽しかった思い出ばかりを何度も思い出してしまう
「私がもっと頑張れば、あの優しかった頃の彼(彼女)に戻ってくれるはずだ」と信じている
関係を終わらせようと考えるたびに、過去の優しさが頭をよぎり、決心が揺らぐ

重要なのは、関係の9割が辛くても、1割の優しさがあれば、人の心はその1割にすがってしまうということです。
これは特別なことではなく、誰にでも起こりうる心理反応なのです。

「でも、優しい時も…」は危険なサイン。モラハラ被害者がつい言ってしまう3つの言葉

カウンセラーとして9年間、800人以上の方のお話を聞く中で、間欠強化の罠にハマっている方が、ほぼ例外なく口にする言葉があることに気づきました。
もし、あなたも無意識にこれらの言葉を使っているなら、それは心が発しているSOSのサインかもしれません。

「でも」「だって」が口癖になっている

カウンセリングの中で、相手の問題行動について話していると、必ず「でも、優しい時もあるんです」「だって、昔は本当に良い人だったんです」という言葉が出てきます。
この「でも」「だって」は、間欠強化によって植え付けられた「期待」が、客観的な判断を妨げているサインです。

友人や家族の忠告を「分かってくれない」と感じる

周囲の人が「そんな人と別れた方がいい」と言っても、「あの人の本当の優しさを知らないから、そんなことが言えるんだ」と反発してしまいます。
これは、間欠強化によって、あなたの中に「特別な絆」があるという錯覚が生まれているためです。

私が変われば、相手も変わるはず」と信じている

「私がもっと良い妻(夫)になれば、あの優しかった頃に戻ってくれるはず」と、自分を責め、努力し続けてしまいます。
しかし、残念ながら、間欠強化のサイクルは、あなたの努力では変えられません。
なぜなら、それは相手の行動パターンだからです。

もしこれらに心当たりがあるなら、一度立ち止まって、客観的な事実と向き合う必要があります。

間欠強化の支配から抜け出すための具体的な3ステップ

この強力な心理の罠から抜け出すには、意志の力だけで頑張るのではなく、正しい知識と手順が必要です。希望を捨てないでください。
ここからは、実際に多くの方がこの罠から抜け出すきっかけを掴んだ、具体的な3つのステップをご紹介します。

ステップ1:これは「罠」であると認識する

まず最も重要なのは、相手のたまに見せる優しさが「愛情」ではなく、あなたを支配下に置くための「罠(あるいは、無意識の行動パターン)」であると、はっきりと認識することです。
「本当は良い人」なのではなく、「たまに良い人のフリをするのが上手いだけ」と捉え直しましょう。
それは愛情ではなく、あなたを混乱させ、その場に留まらせるための「支配の道具」です。

ステップ2:「優しさ」と「辛さ」を記録し、可視化する

記憶は感情によって簡単に書き換えられてしまいます。客観的な事実で判断するために、カレンダーや手帳に、その日の相手の態度を記録していきましょう。

  • 優しかった日、穏やかだった日 → 😊(スマイルマーク)
  • 暴言、無視、不機嫌など、辛かった日 → ⛈️(嵐マーク)

1ヶ月後、カレンダーを見返してみてください。嵐マークの多さに愕然とするはずです。
この「可視化された事実」が、あなたの「でも、優しい時も…」という幻想を打ち破る強力な武器になります。

ステップ3:専門家と繋がり、「安全な第三者」の視点を得る

間欠強化の罠にハマっている時、一人で判断するのは非常に困難です。
なぜなら、加害者との関係が「世界のすべて」になってしまっているからです。

カウンセラーなどの専門家は、あなたの置かれている状況を客観的に分析し、間欠強化のサイクルから抜け出すための具体的な道筋を示してくれます。
あなたの感情を肯定し、安全な場所から「それは愛情ではないですよ」と伝え続けてくれる存在は、回復の過程で不可欠です。

記憶は嘘をつくが、記録は嘘をつかない

1ヶ月後、カレンダーを見返してみてください。
嵐マークの多さに愕然とするはずです。

実際に、この記録をつけ始めたことで、関係を見直すきっかけを掴んだ方が何人もいらっしゃいます。
ある相談者の方は、「記録をつけるまでは『半分くらいは優しい日もある』と思っていたのに、実際には月に2〜3日しかなかった。自分がどれだけ現実を歪めて見ていたか、ショックでした」と話してくださいました。

この「可視化された事実」が、あなたの「でも、優しい時も…」という幻想を打ち破る強力な武器になります。
記憶は嘘をつきますが、記録は嘘をつきません。

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まとめ:今日から始められる「小さな一歩」

モラハラ関係から抜け出せないのは、決してあなたの意志が弱いからではありません。
「間欠強化」という、誰でもハマる可能性のある強力な心理の罠にはまっているだけなのです。

その仕組みを正しく理解し、客観的な事実と向き合い、外部の助けを借りることで、必ずその罠から抜け出すことはできます。

今日から始められる「小さな一歩」:

  • カレンダーに記録を始める:今日から、相手の態度を😊(優しい)か⛈️(辛い)でメモしてみましょう。1ヶ月後、その記録があなたの判断を助けてくれます。
  • 「でも」を意識する:相手のことを話す時、「でも」「だって」と言いそうになったら、一度立ち止まってみましょう。それは間欠強化のサインかもしれません。
  • 誰かに話してみる:信頼できる友人、家族、またはカウンセラーに、今の状況を話してみましょう。一人で抱え込まないことが、回復への第一歩です。

この記事が、その第一歩となれば幸いです。

モラハラの全体像や、他の抜け出せない理由(支配のサイクル、共依存など)については、以下のまとめ記事で詳しく解説しています↓

免責事項

本記事は、モラハラ関係に見られる心理的パターンや行動傾向について、一般的な理解を目的として情報提供を行うものです。
医学的診断、心理療法、法的判断、または個別の状況に対する助言を行うものではありません。

関係の判断や今後の対応は、

  • 暴力の有無
  • 子どもの状況
  • 経済的条件
  • 安全性

などによって大きく異なります。

ご自身やご家族の安全に不安がある場合は、自治体の相談窓口、DV支援機関、医療機関、弁護士などの専門機関への相談もご検討ください。

本記事の情報は可能な限り正確を期しておりますが、情報の利用により生じた結果について責任を負うものではありません。

参考文献

本記事は、行動心理学および対人関係心理学の知見をもとに、著者のカウンセリング現場での観察知見を加えて構成しています。

主な理論的背景

・B.F. Skinner(1953) Science and Human Behavior
 → 強化スケジュール(間欠強化)の理論

・B.F. Skinner(1938) The Behavior of Organisms
 → オペラント条件づけの基礎

・Ferster & Skinner(1957) Schedules of Reinforcement
 → 強化スケジュールの詳細研究

・Lenore E. Walker(1979) The Battered Woman
 → DV関係におけるサイクル理論

・American Psychological Association
 Intermittent Reinforcement の定義

※本記事は学術論文の逐語的解説ではなく、臨床・相談現場の理解を助けるための解釈を含みます。

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