ご相談事例
わたし大村がカウンセラーとして約10年間(2016年~2025年現在)の中で、これまで受けてきた相談の中からいくつかをピックアップして紹介していこうと思います。
・こんなこと相談していいのかな・・・
・困っているけど何を相談していいのか分からない・・・
・相談して意味があるのかな・・・
・どんな悩みの人が相談しているのだろう・・・
などなど。
困っているけれども相談するべきなのか否か?
悩んでいる方はぜひ参考にしていただけると幸いです^^
目次
ご相談事例について
以下に掲載している事例は、実際のカウンセリングに基づいていますが、個人情報保護のため内容を加工し、複数のケースを組み合わせるなどの配慮を行っています。各事例は当事者の承諾を得た上で掲載しています。詳しい免責事項はページ末尾をご覧ください。
相談事例①:ASD受動型の夫とカサンドラ症候群の妻
ご相談者様のプロフィール
40代女性 Kさん
結婚12年目
職業:パート
夫(40代):ASD傾向あり(未診断)
お子さん:小学生1人
ご相談内容
「主人は几帳面で真面目な性格ですが、コミュニケーションの取り方に違和感を感じ続けてきました。会話が噛み合わず、私が伝えたことが伝わらない、感情の共有ができない、突然黙り込む、家族のことに関心がない、一緒に考えようとしない、など、何年も悩んできました。最近、夫がASDの特性を持っている可能性に気づき、カサンドラ症候群について調べるうちに、自分の状態がまさにそれだと思いました。疲れ果て、イライラが止まらず、自分を見失っている感覚です。離婚も考えましたが、子どものことや経済的なことを考えると踏み切れません。なんとか一緒に生活していく方法を見つけたいです。」
カウンセリング経過(『共依存克服プログラム(無期限コース)』契約)
初期段階(1~5回): Kさんは長年の不満や傷つきを話され、涙されることも多くありました。夫の行動パターンや会話の特徴から、確かにASD傾向が強く見られました。特に受動型の特性が顕著で、自分から提案することが少なく、Kさんが全てを決めなければならない状況が続いていました。
中期段階(6~15回): 夫の特性について理解を深めていただくため、ASDの特性や認知の特徴についてお伝えしました。夫の行動には「悪意」ではなく「特性」があることを理解されはじめ、少しずつ心の余裕が生まれてきました。同時に、Kさんが抱えていた80以上のエピソードを一つ一つ丁寧に聴き、感情を解放していただきました。
後期段階(16~30回): Kさんは自分自身に目を向け始め、趣味の時間を作るなど自分のための活動を増やしていきました。夫との適切な距離の取り方、コミュニケーション方法も学ばれました。例えば、曖昧な表現を避け、具体的かつ簡潔に伝える、視覚的な情報(メモなど)を活用するなどの工夫を実践されました。
変化と成果
カウンセリング30回を通じて、以下のような変化が見られました。
夫の特性への理解と受容: 「主人が悪気でやっているわけではないことが腑に落ちました。以前は『なぜわかってくれないの』と怒りが募りましたが、今は『そういう認知の仕方なんだ』と理解できるようになりました。」
エピソードの成仏: 「一つ一つのエピソードを聴いてもらえたことで、長年溜め込んできた感情が解放されました。大村先生に全て(文字通り全て)聴いていただいたことで、成仏できたという表現がぴったりです。」
自分の人生への集中: 「夫に合わせすぎず、自分のやりたいことをするようになったら、不思議と心が軽くなりました。週末は自分の習い事や友人との時間を確保し、充実感が戻ってきました。」
適切な距離感の構築: 「同じ家に住んでいても、互いの時間と空間を尊重できるようになりました。過度な期待をせず、できることとできないことの境界を認識できるようになったのが大きいです。」
対処能力の向上: 「新たな困難な場面が生じても、以前のように感情的になるのではなく、『これは特性だな』と冷静に受け止め、適切に対応できるようになりました。」
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- Kさんからメッセージ
- 「離婚も考えるほど追い詰められていましたが、今は夫との関係に一定の距離を保ちつつ、自分の人生を生きられるようになりました。完璧な夫婦関係を求めるのではなく、お互いの特性を理解し、尊重し合う関係を目指せばいいのだと気づきました。何より、自分自身が元気になれたことが一番の変化です。勝手に自分で自分の好きなことをすることを制限していましたが、いざやり始めてみたら特に何か言われることはないことに気付きました。勝手に制限していたのは、小さい頃からの親からの発言が原因だということにも気づき、自分にも変えるべき問題があることを知れたのは良かったです。夫には失礼な言い方となってしまいますが、受動型の特性を良いように解釈して使っていこうと思えたのは大きかったです。もちろんすべてではないですが、夫の嫌だった特性が良いものに変わりました。今はたまにクスっと笑えるようにもなりました。いつも私に関わってきたり、口を出してくるような夫よりは全然こちら(受動型)の方が良いと思えました。大村先生の『共依存克服プログラム(無期限コース)』で、時間をかけて一つ一つのエピソードを聴いていただけたことが、私の回復につながりました。エピソードを聴いていただけたからこそ、夫の特性を理解しようというエネルギーが持てたと思います。回復にはステップがあるのだなと感じました。」
カウンセラー大村からのコメント | |
このケースでは、カサンドラ症候群に苦しむKさんが、夫のASD特性を理解し、適切な距離感を見つけられたことが大きな転機となりました。特に重要だったのは、過去のエピソードを一つ一つ丁寧に聴き、感情を解放する「成仏」のプロセスです。これにより心の整理ができ、新たな対処法を身につける余裕が生まれました。他のページにも記載していますが、「悪気がないから許さないといけないというわけではないですよ」という私の一言で、かなり救われたようでした。ご主人の特性を理解してみようという気になったようです。「ASD傾向にある方との関係では、相手の変化を期待するのではなく、自分自身の認知や行動パターンを変えていくことが重要です」というようなきれいごとも、成仏した後、または成仏しながらだから受け入れられることです。Kさんは見事にその転換を果たされ、自分の人生を取り戻されました。カサンドラ症候群からの回復には時間がかかりますが、正しい理解と適切なサポートがあれば、必ず道は開けていきます。 |
Kさんのその後
半年に一度、Kさんから近況を聞かせていただいています。Kさんの夫は、これまでの部署とは違い、よりコミュニケーションを必要とする部署に異動になりました。そして、これまでKさんから言われてきたことと同じようなことを職場の上司や同僚にも言われ始め、納得しない様子ながらも、ついに病院に行き始めたようです。そして諸々テストを行った結果、お医者さんからグレーゾーンと言われたようです。今までのKさんからの指摘が少しずつ腑に落ちてきて、自覚し、徐々に自分の特性を受け入れてきているようで、Kさんは夫との生活のストレスがより減ってきているようです。
<関連ページ>カサンドラ症候群についてはこちら↓
相談事例②:自己愛性パーソナリティ障害疑いの夫とその影響を受ける妻
ご相談者様のプロフィール
30代後半女性 Mさん
結婚8年目 職業:当初はパート、現在は正社員
夫(40代前半):自己愛性パーソナリティ障害の傾向あり(未診断)
お子さん:5歳と3歳の2人
ご相談内容
「結婚当初は優しく頼りになる人だと思っていた夫ですが、徐々に本性が見えてきました。自分の話ばかりで私の話は途中で遮られ、何かあると『お前が無能だからだ』と激しく責められます。意見を言おうものなら『黙れ』と怒鳴られ、時には物を壁に投げつけることも。家事や育児はほとんど手伝わず、『俺が稼いでいるんだからそれくらい当然だろう』と言い放ちます。外では礼儀正しく振る舞っていますが、家に帰ると豹変し、些細なことで爆発的に怒り、何時間も罵られることもあります。子どもたちの前でも私を馬鹿にし、『お前のようなダメな母親にならないように』と言います。最近、自己愛性パーソナリティ障害について調べて、夫の行動パターンがそれに当てはまることに気づきました。話し合おうとしても『お前こそ病気だ』と逆上され、暴言を浴びせられます。子どもたちのためにも穏やかな家庭にしたいのですが、もう自分の心が持ちません。離婚も考えましたが、『子どもを会わせない』『養育費は払わない』と脅され、経済的な不安も大きく踏み出せません。どうすれば自分と子どもたちを守りながら関係を改善できるでしょうか。」
カウンセリング経過(『共依存克服プログラム(無期限コース)』契約)
初期段階(1~10回):Mさんは恐怖と不安を抱えながら、夫の暴言や威圧的な態度について語られました。特に「何かあれば全て自分のせいにされる」「夫の前では常に緊張している」という状態が続いており、PTSDに近い症状も見られました。夫の言動パターンを整理していくと、自己愛性の特徴に加え、明らかな支配・威圧的な行動が確認できました。まずは安全確保の方法から話し合い、必要に応じて実家へ避難することも選択肢として検討しました。
中期段階(11~20回):自己愛性パーソナリティ障害の特徴と、それが家族にもたらす精神的・心理的DVの実態について理解を深めていただきました。カウンセリング15回目頃、Mさんは子どもたちと共に実家へ避難することを決意されました。別居によって心の余裕が生まれ始め、「夫から離れると、自分の考えが明確になってくる」という気づきがありました。同時に、実家の母親との関係にも不安を感じていましたが、その対処法についても話し合いました。
後期段階(21~40回):別居期間中、Mさんは徐々に自信を取り戻され、パートから正社員へと就職されました。このとき、夫の反対を予想して事前に相談せず、決定後に報告するという戦略を取られました。驚くことに「報告しないでやってしまえば意外と文句は言われない」という発見があり、自分の決断を実行する自信につながりました。経済的自立への道が開け、離婚調停という形で法的手続きを進めることになりました。調停の場では、第三者の権威ある存在の前で夫の攻撃性が弱まるという変化も見られました。
変化と成果
カウンセリング40回(2年間)を通じて、以下のような変化が見られました。
別居による心理的安全の確保:「実家に避難してからは、毎日の恐怖や緊張から解放され、少しずつ自分を取り戻せました。母との関係も心配していましたが、以前よりも対等な関係を築けるようになりました。」
経済的自立と意思決定の実践:「正社員として働き始める際、反対されると思い夫に相談せずに進めました。意外にも後から報告すると大きな反発はなく、『自分の決断は自分でできる』という自信につながりました。経済的な自立だけでなく、精神的な自立も感じられました。」
自己肯定感の回復:「以前は夫の言葉をすべて真に受け、自分には価値がないと思っていました。でも今は『それは彼の歪んだ見方であって、真実ではない』と理解できます。社会とつながることで、客観的な視点を取り戻せました。」
離婚後の関係性の変化:「調停を経て離婚が成立し、養育費もきちんと支払われ、面会交流も行われています。不思議なことに、離婚して『他人』になったとたん、夫の攻撃性はなくなりました。彼は身内か他人かで態度が大きく変わるようです。この理解が、今後の関係を冷静に維持するのに役立っています。」
子どもへの対応:「子どもたちも別居後は落ち着き、笑顔が増えました。ずっと続いていた腹痛もおさまりました。今は『どんな状況でも自分の気持ちを大切にして良い』ということを子どもたちに伝えるよう心がけています。面会交流の際も、子どもたちの様子を見守りながら、安心できる環境を整えています。」
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- Mさんからメッセージ
- 「カウンセリングを始めた頃は、全てが自分のせいだと思い込み、絶望していました。大村先生に『これは虐待であり、あなたは被害者です』と言われた時は、信じられない気持ちでした。でも少しずつ、自分の置かれている状況を客観的に見られるようになりました。別居を決意するまでは本当に怖かったですが、実家に戻ってからは少しずつ心に余裕が生まれました。最も大きな変化は、自分で決断して行動する勇気を持てたことです。正社員になる時も、夫に反対されると思い、あえて先に行動し、後から報告するという戦略を取りました。意外にも大きな反発はなく、『言わずにやってしまえば意外と大丈夫』ということに気づけたのは大きな発見でした。離婚調停は辛い過程でしたが、最終的に離婚が成立し、養育費もきちんと支払われています。面会交流も行われていますが、不思議なことに離婚して『他人』になったとたん、夫の攻撃性はなくなりました。彼は身内には強く出るけど、他人には礼儀正しくするタイプだったのだと理解できました。この気づきが、今後の子どもを含めた関係を冷静に維持するのに役立っています。2年間、40回のカウンセリングを通して、私は「被害者」から「自分の人生を切り開く一人の人間」へと変わることができました。まだ完全に過去の傷が癒えたわけではありませんが、前を向いて歩いていく力を得られました。子どもたちも安定した環境で少しずつ本来の明るさを取り戻しています。同じような状況で苦しんでいる方には、まずは安全な場所に身を置くことの大切さを伝えたいです。そして、自分で決断し行動する小さな一歩が、大きな変化につながることを知ってほしいと思います。『これは私のせいではない』と気づき、行動を起こした時から、新しい人生が始まるのだと思います。」
カウンセラー(大村)からのコメント | |
このケースは、自己愛性パーソナリティ障害の特性を持つ夫からの精神的・心理的DVが長期間続いた深刻なケースでした。Mさんの回復プロセスで特に重要だったのは、「安全な環境の確保」「自分の決断で行動する経験」「社会との健全なつながりの再構築」です。別居という大きな決断をされたことで、まず物理的・心理的な安全が確保され、そこから回復のステップが始まりました。特に印象的だったのは、「夫に相談せずに正社員になる」という決断をされた時の変化です。小さな反抗とも言えるこの行動が、大きな自信と自立心を育む契機となりました。また、離婚後の関係性の変化も非常に興味深い点です。「身内か他人か」で態度が大きく変わるという夫の特性を理解されたことで、Mさんは感情的な反応ではなく、冷静かつ戦略的に関係を維持できるようになりました。この「心理的な距離感」の獲得は、養育費や面会交流といった現実的な問題を円滑に進める上でも非常に重要でした。このケースが示すように、自己愛性パーソナリティ障害を持つ攻撃的なパートナーとの関係において、必ずしも「関係の修復」だけが解決ではありません。時には「安全な距離を取る」こと、そして「自分の意思で行動する」経験の積み重ねが、本人と子どもたちの健康と幸福のために必要な選択となります。Mさんの勇気ある取り組みが、同じ悩みを抱える方々の希望になることを願っています。 |
Mさんのその後
ご主人の特徴や対応を学び、実践してきたことによる自信によって、お母さんからの影響をほとんど受けなくなったようです。神聖化してきたお母さんを一人の人間(他人のように)として見ることができるようになったようです。お母さんは、Mさんが小さい頃とまったく変わりませんし、今後も変わらないと思いますが、そのことについては良い意味であきらめられているようです。実家に戻る際にお母さんとのことで想定していた不安が、ほぼ解消されたようで良かったとのことです。
<関連ページ>自己愛性パーソナリティ障害についてはこちら↓
相談事例③毒親育ちによってモラハラ被害を繰り返す女性
ご相談者様のプロフィール
40代後半女性 Sさん
婚姻歴:離婚1回、現在は交際中
職業:会社員(事務職)
生育環境:支配的な父親、共依存的な母親のもとで育つ
現在の状況:新しい彼氏との関係で不安を感じている
ご相談内容
「幼い頃から父の気分次第で家の雰囲気が変わり、母は常に父に合わせる生活でした。私自身も『父を怒らせない』ことを最優先に育ち、自分の気持ちを押し殺すのが当たり前になっていました。大人になってからの恋愛関係も似たようなパターンで、相手の機嫌を損ねないよう神経をすり減らし、モラハラや支配的な男性を『強くて頼りになる人』と勘違いして惹かれてしまいます。結婚した夫も例外ではなく、徐々に支配的になり、最終的に離婚しました。その後も同じようなタイプの人とばかり付き合ってしまい、たまに優しい人と出会っても『物足りない』『頼りない』と感じたり、無意識に相手を試すような行動をとって関係をダメにしてしまいます。今付き合っている人は本当に誠実で優しいのですが、なぜか安心できず、つい冷たくしたり、過剰に依存したりと、自分でも振り回していることに気づいています。一人でいると不安で仕方なく、すぐに誰かに頼ろうとしてしまいます。このパターンから抜け出し、健全な関係を築きたいのですが、どうすればいいでしょうか。」
カウンセリング経過(『共依存克服プログラム(無期限コース)』契約)
初期段階(1~6回):Sさんは自分のパターンについての認識はありましたが、感情的な部分では「このままではいけない」と頭では理解しつつも、体が覚えている反応パターンから抜け出せない葛藤を抱えていました。特に子ども時代の記憶を語る際には、「父親の機嫌を損ねないよう常に神経を使っていた」「自分の感情よりも父親の感情を優先していた」といった経験が多く語られました。Sさん自身が現在の関係でも同じような構図を無意識に再現していることに気づきました。また、自己否定的な発言(「自分は全然ダメ」「自分はバカだから」等)や、特に何もしていないのについ癖で言ってしまう「すみません」をやめようと意識し始めました。
中期段階(7~16回):この段階では、Sさんの「モラハラホイホイ」(モラハラをする人に引き寄せられる傾向)と「モラハラメーカー」(自分を卑下し過ぎることによって相手のモラハラ気質を引き出してしまう傾向)の両面について掘り下げました。特に重要だったのは、良い関係が築けそうになると、無意識のうちに「これは本当に続くはずがない」「いずれ見捨てられる」という恐怖から、自ら関係を壊すような行動をとってしまうパターンについての気づきでした。「幼少期に安定した愛情を経験できなかったために、安定した関係が『不自然』に感じられる」という理解が進み、現在の彼氏との関係でも、彼の「普通の優しさ」に不信感を抱いたり、わざと試すような言動で反応を確かめようとしていたことに気づきました。
後期段階(17~25回):後半では、具体的な変化のための実践に焦点を当てました。特に以下の点に取り組みました。
・一人でいる時間との向き合い方:一人の時間を「恐怖」から「自分を大切にする時間」へと再定義するトレーニングを行いました。最初は5分間から始め、徐々に時間を延ばしていくことで、一人でいることへの耐性を高めました。
・感情の認識と表現:自分の本当の感情に気づき、それを適切に表現する練習を行いました。特に「怒り」や「悲しみ」といった、幼少期に抑圧するよう学んだ感情を安全に表現する方法を学びました。
・境界線の設定:自分と他者との適切な境界線を設定する練習を行い、NOと言う際の具体的な言葉を一緒に考えていきました。
・健全な関係の特徴の学習:健全な関係とは何かについての理解を深め、現在の彼氏との関係で実践できる具体的なコミュニケーション方法を学びました。
変化と成果
カウンセリング25回を通じて、以下のような変化が見られました:
パターン認識の深化:「私は無意識のうちに父親との関係を恋愛関係で再現していたことがわかりました。特に、相手の機嫌を損ねないよう常に気を遣い、自分の気持ちを後回しにするパターンです。」
感情への接続:「自分の感情が何なのかを知ることから始まりました。『これは怒りなんだ』『これは悲しみなんだ』と名前を付けるだけでも、感情に振り回されなくなりました。」
一人でいる力の獲得:「最初は30分一人でいるのも不安でしたが、今では一日中一人でも平気になりました。むしろ自分だけの時間を楽しめるようになり、依存的な関係から脱却できています。」
健全な境界線の構築:「彼氏に対して自分の気持ちを正直に伝えられるようになりました。『これは私には心地よくない』と伝えても関係が壊れないことを体験し、少しずつ安心感が生まれています。」
健全な関係の構築:「彼氏との関係は驚くほど変わりました。以前は彼の優しさに不信感を抱き、わざと試すような言動をしていましたが、今はその優しさをそのまま受け取れるようになりました。何より、自分も素直に気持ちを表現できるようになり、対等な関係が築けていると感じます。」
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- Sさんからメッセージ
- 「私のような毒親育ちで常にモラハラ関係に陥る人生パターンがあるとき、それを変えるのは本当に難しいと思っていました。頭では『これは良くない関係』と分かっていても、体が求めてしまう感覚があったんです。カウンセリングを通じて、私の中にある『モラハラホイホイ』と『モラハラメーカー』の両方の気質と向き合えたことが大きかったです。特に、無意識のうちに健全な関係を自分から壊してしまうパターンに気付けたのは転機でした。今の彼氏との関係は以前とは全く違います。彼の優しさを素直に受け取れるようになり、自分も正直に気持ちを伝えられるようになりました。それでも時々、古いパターンに戻りそうになることはありますが、それに気付いて修正できるようになりました。何より、一人でいる時間を恐れなくなったことで、誰かに依存せずとも自分は大丈夫だという安心感が生まれました。これが健全な関係の土台になっていると実感しています。大村先生と合計40時間くらい会話してきたわけですが、まともな男性となら『安心して何でも話して良いんだ』ということを知れたのも、自分の土台になったなと実感しています。まともな男性を知ることで、今まで関わってきた男性がいかに良くないということがはっきりわかったことも大きかったです。」
カウンセラー(大村)からのコメント | |
このケースでは、幼少期のトラウマ体験が大人になってからの対人関係パターンに強く影響していることが明確に表れていました。Sさんの場合、特に「安全ではない環境で生き延びるためのスキル」が、現在では逆に健全な関係を築く妨げとなっていたのです。カウンセリングでは、表面的なアドバイスではなく、その根底にある感情や信念に働きかけることが重要でした。特に「安全な関係でも不安を感じる」という逆説的な反応の理解と、それを少しずつ書き換えていく作業が効果的でした。Mさんが勇気を持って自分のパターンと向き合い、ちゃんと行動にうつしたことで変化することができました。『彼にNoを言ってみる』『一人で喫茶店で数時間居てみる』といった数々のミッションを実行して、意外と大丈夫だったという成功体験を積み、自信をつけていったと思います。『行動を変えることで思考が変わっていく』という感覚を習得したことは、今後の人生において役立つことと思います。毒親環境で育った方の回復には時間がかかりますが、Sさんのような変化は必ず可能です。大切なのは、自分のパターンに気付き、小さな変化を積み重ねていくことだと私自身も気付かされました。 |
<関連ページ>
・なぜモラハラから抜け出せないのか?:支配と共依存の仕組みを知り、自分を取り戻す方法
・共依存は連鎖する
・モラハラの後遺症からの克服:健全な人間関係を再構築する方法
ご相談事例の取り扱いについて
当ウェブサイトに掲載されている相談事例は、実際に行われたカウンセリングをもとにしていますが、以下の点について特別な配慮を行っております。
個人情報保護と守秘義務について
・すべての事例において個人が特定されないよう、氏名・年齢・職業・家族構成などの情報を変更しています
・複数のクライアント様のケースを統合したり、一部のエピソードを変更・省略したりしている場合があります
・事例の本質的な問題や解決プロセスは尊重しつつ、プライバシー保護のために詳細部分を修正しています
・掲載にあたっては、該当するクライアント様の同意を得ており、内容についても確認をいただいています
事例掲載の目的
これらの事例は、同様の悩みを抱える方々が「自分だけではない」「解決の道筋がある」と感じていただくために共有しています。
また、当カウンセリングのアプローチや支援の実際をご理解いただくための参考資料として掲載しています。
個別性の尊重
掲載事例と似た状況にあると感じられても、お一人お一人の状況や背景は異なります。
当カウンセリングでは、すべてのクライアント様を個別のケースとして丁寧にサポートいたしますので、ご安心ください。
ご不明な点や質問がございましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
この記事を書いた人 | |
共依存・夫婦問題カウンセラー大村祐輔 9年間で約800人、60分×約13,000回のカウンセリング実績から得た知識や経験を還元できるよう日々尽力しています。 大村の理念は「夫婦問題を解決して終わりじゃない」「離婚して終わりじゃない」「根本からの自己改革」です。 共依存で悩むあなたに「とことん付き合う」の精神で活動しています。 日本学術会議協力学術研究団体 メンタルケア学術学会認定 メンタルケア心理士 資格番号E1607030023 一般社団法人 ハッピーライフカウンセリング協会認定 離婚カウンセラー 会員番号200017 →詳しいプロフィールはこちら |